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『後ハッピーマニア』1-3巻 安野モヨコ

村上春樹は「老いを描けない」と言うが、安野モヨコは体の老いと社会的立場と自意識の旅を始める主人公のマンガを描いている、とTwitterで読んで購入。面白いだろうことはわかっていたけれど、私は気を許すとマンガへの課金が恐ろしいことになるので、ずっと買わずにいた。あぁ、やっぱりすっごく面白い。


90年代に連載していた『ハッピーマニア』はハチャメチャなカヨコが凄まじいエネルギーで恋愛に狂っていくマンガ。そんなカヨコに鬱陶しがられても、他の男を次々に追っかけまわしても、暴力を振るわれても彼女をずっと好きで食らいつく地味で従順な男、タカハシ。ついに結婚して『ハッピーマニア』は幕を下ろす。それから幾星霜、タカハシから離婚を切り出される子無し専業主婦のアラフィフ カヨコ。親友のフクちゃんは美容ビジネスで成功したものの、夫ヒデキと息子は女の家から帰ってこない。

仕事も子供もなく拠り所がないカヨコはどうするのか。怒り心頭のフクちゃんはヒデキの不倫相手に復讐のノロシを上げる。(彼女の考えた拷問に私は震え上がった)体力は衰えたといえ、独特のエネルギーが蘇ってくる2人。こんなに「行け行けカヨコ!Go Goフクちゃん!」と応援したくなるマンガってなかなかない。

カヨコが就く職業は突飛だけれど、どうしてその職業に適性があるのかを無理なく描いていたり、同年代なら思わず共感する気持ちが丁寧に織り込まれているから、とてもリアル。

個人的にはフクちゃんのファッションと、4巻から繰り広げられるであろう反撃が楽しみでしょうがない。おばさんもいいなぁ、面白いなぁ、まだまだ!と思わせてくれる。最高。前作を読んでいた人はもちろん、そうでない人もぜひ。

『後ハッピーマニア』1-3巻 安野モヨコ

#後ハッピーマニア #安野モヨコ #マンガ #本 #読書感想文

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