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『私たちの星で』 梨木香歩、師岡カリーマ・エルサムニー

Instagram DECEMBER 13, 2018 掲載

「やりとりが神々しい」と梨木香歩好きの友人が進めてくれた往復書簡。どんなもんかと読んでみた。

私は師岡カリーマ・エルサムニーさんを知らなかったので、会話からこのエキゾチックな名前を持つ人を想像していく。なかなかこれはエキサイティングなことだった。日本語は流麗、どうやらエジプトで暮らしていたことがあるらしい。知的でユーモアがありチャーミング。絶対美人だ・・・と思ったら素晴らしい美人だった。

梨木さんの希望で始まったという師岡さんとの往復書簡。梨木さんもイギリス留学経験があり、旅する地球感覚のある人。師岡さんももちろんそうで、そんな二人が国や文化、宗教について「自分の経験」をもとに書簡をしたためる。それはフランスのタクシードライバーとのやりとりだったり、アメリカ税関の対応だったり、民泊でステイしたゲイの美容師やユダヤ人とのおしゃべりだったりする。ここまで異なる文化と人について経験し、感じ、言語化できる人は多くないと思う。

長らく自分一人だけで深めてきたことが、他者が入ることにより飛躍的に進化する。そんなブレイクスルーがこの書簡のそこかしこに美しい文章で描かれている。その奥には思索における発見と素晴らしいパートナーの存在への歓喜が感じられる。以前、矢野顕子と上原ひろみの連弾を見たことがある。突き抜けた人たちが「遊び相手見つけた!」とばかりに全力で弾いていた。この書簡は、ある意味で「お前つえぇのか?オラワクワクすっぞ」知的バージョンのようだった。

友人よ、あなたの表現は極めて的確。この二人のやりとりは、神々しい。

74. 『私たちの星で』 梨木香歩、師岡カリーマ・エルサムニー

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