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プロセス志向でないか?
完璧主義の人は、プロセス志向である。
上手に力を抜く人は、目的志向である。
私が大学の弓道部に入部したばかりで懇親会においての接待経験が乏しかった頃、現役先輩から、OB先輩のビールがなくなったらすぐに注ぐように、注ぐ際にビールのラベルを上に向くように、料理がなくなったらすぐに皿を下げるように細かい指導をされていました。
そして一通りの気遣いができるようになったある接待でのことです。
弓道部副将を務めていた私の大学二年生の頃、ものすごく世話になっているOB先輩との接待だったので、部内幹部先輩も同席していた会でした。
いつものように、ビールがなくなっていないかどうかと目を配り、「次、何にしますか?」「何か召し上がりませんか?」と勧めていました。
私は気を遣い、うまくやっているつもりでしたが、接待が終わって部内幹部先輩に飲みに連れて行かれ、こんなふうに言われました。
「お前は、気を遣うことが接待だと思ってねえか?」
先輩は続けてこのように言いました。
「接待の目的は、OB先輩に楽しんでいただくことだ。お前のように気を遣いすぎると、相手にも気を遣わせてしまうので楽しめいないだろう。逆の立場ならどうだ?」
私はプロセスや手段にとらわれて、接待の本質である、先輩に楽しんでもらうことを見失っていたのでした。(上記の「OB先輩」を「お客様」に、そして「部内先輩」を「上司」に替えてみてください)
プロセス主義は視野狭窄を招く
私のように本質を見失ってしまう例は、形は違えど、あなたにも心当たりがあるのではないでしょうか?
特に完璧主義の人は、プロセスをきちんとしないと気が済まない人が多いので、本来の目的にかなっているかどうか、立ち返ってみることが重要です。
プロセスの完璧を目指すと、手順を正確にこなすことが目的化しがちです。
また、プロセスに没頭すると視野が狭くなり、結果として私のように目的や本質が見えなくなっていきます。
上手に力を抜く人は、目的を中心に考える習慣を持っています。目的から考えて必要なことだけにこだわることができるのです。
目的については、明確に言葉で答えられることが重要です。そのためには、「今回求められていることで一番重要なことは何か?」「相手はどんな資料をもらうと嬉しいのか?」といった質問を自分自身に何度も投げかけることを習慣にしてみてください。