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破壊と再建から生物多様性を描く~ブラジルパビリオン~
こんにちは。今日は日本から地球のちょうど反対側に位置するブラジルのパビリオンについてご紹介します(冒頭画像は©Bia Lessa team)。
ブラジルは当初、参加国が自前で建設するパビリオンの「タイプA」を希望していました。ですが日本との時差や距離がネックとなり、2025年4月13日の万博開幕までに完成が間に合わない恐れが浮上。昨年11月、日本国際博覧会協会(万博協会)が建設を代行する簡素なパビリオン「タイプX」への移行を表明しました。移行により、フロアは複数から一つに絞られ、面積は3分の1に縮小したそうです。
「タイプXだからしょぼいんでしょ?」
そう思ったあなた。ブラジルがその予想を大きく覆してくれるでしょう。
ブラジルパビリオンは生命の多様性や盛衰を表現する展示が特徴。「ある演出」で来場者をあっと驚かせる展示を実現します。
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ブラジルパビリオンに入るとまず目に飛び込んでくるのは植物、動物、人間、さまざまな形をしたオブジェ。天井は「逆さまな状態の森林」のように多くの植物のオブジェが飾られています。
ここでは来場者に「人間と動物と森が融和的に共存している世界」「人間中心ではない世界」を伝えます。誰もが身近に感じられるように、どのオブジェも現実的には描写せず、抽象的に表現します。
先ほど触れた「来場者を驚かせる演出」、それはワンフロアの中で展示がさまざまなテーマ、形に変化するということです。
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①「生命の力」②「一人一人の存在が異なっていながら一つという奇跡」③「全ての生命がつながっているという接続性」④「存在するもの全ての破壊、死」⑤「花が開く命の始まり」―という五つのテーマを元に、館内はまるで劇のように大きく変化。約13~18分の中で来場者はさまざまなテーマを受け取ることができる仕組みです。
特に四つ目の「存在するもの全ての破壊、死」というテーマについて、コンセプト構想を担ったキュレーターのビア・レッサさんは「死を語らずして命を語ることはできない。地球上にある命を殺すのか、あるいは花開かせてエンパワーメントするのか、現代を生きる私たちはまさに大きな岐路に立たされている。破壊と再建から生物多様性を描く」と語っています。
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もちろん目で感じるだけでなく、ブラジルをよく知ることができる学習機会も。オブジェや壁など館内には無数のQRコードが散りばめられ、それを読み込むとブラジルの文化や哲学、先住民の知恵を学ぶことができます。
ワンフロアの小規模なパビリオンだからこそ、動きのある演出で展示を立体化させる工夫を施すブラジルパビリオン。そのこだわりは外観にも。
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タイプXは簡素なプレハブ造りですが、外壁を金色に塗装し、日光の反射で目を引く工夫を施します。万博会場のシンボルとなる木造巨大屋根「リング」からもひときわ目を引きそうですね。
ブラジル貿易投資振興庁のジョルジェ・ビアナ長官はパビリオンの発表記者会見で「どんなタイプでも驚きを提供できる」と説明し、1日最大1万人の来場を見込めると説明。「重要なのは中身だ。小さくても十分自国を発信できる内容になり満足だ」と自信を見せました。
さまざまな困難や制約があったからこそ、自国らしい展示へとたどり着いたブラジルパビリオン。そんな背景事情を知ると、さらに展示への期待が膨らみます。ぜひ開幕後、そのチャレンジを直接確かめてみてはいかがでしょうか。(伊)
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