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【今日の短歌】レースのブラ 光る午後4時 乙女らの 恋バナが咲く 更衣室にて

レースのブラ
光る午後4時
乙女らの
恋バナが咲く
更衣室にて

「今日ね、この後、サクラちゃんとサクラちゃんの彼氏と3人でアイス食べに行くんです」

「へぇ。そうなんだ。いいね」

サクラちゃんの方を見ると、黒のシースルーのシャツをはおった彼女が少し恥ずかしそうにぺこりと頭を下げる。下着が透けて見えている。セクシーだなー。

「もえちゃんの彼氏は行かないの?」
「え。だって帰省中だし。てか、今、ケンカしてるし」

もえちゃん、今、口を尖らせて、目を伏せたよね。彼とうまくいってないっぽい。

ダメージジーンズをサッと履いてもえちゃんは、ロッカーの鍵を素早く締めた。ボロボロのデニム生地の破れたところから、太ももが見える。

「行ってらっしゃい」
「行ってきまーす。お疲れさまでしたー」
2人は足早に更衣室を出ていった。

彼女たちはバイト仲間のウェイトレス。大学3年生。みんなかわいくてオシャレ。青春の真っ只中にいる子たち。

誰かとアイスを食べにいく。そんな些細なことでも、大きな大きなイベントだったあの頃。怖いものなんて何もなくて、毎日がキラキラしていた。

レースのブラも、シースルーの服も、破れたジーンズも。なんなら、アイスクリームまで。
世界のすべては、
彼女たちのためにあるようで。

そんな世界の、更衣室の、ロッカーの、扉についた小さな鏡の中。

ふと、髪の生え際に白いものを見つけてしまった。

それがまたキラキラしてて切ない。
そんなキラキラはいらないよ。

染めにいこうと思ったが、16日まで美容室がお盆休みだったのがこれまた切ない。

気を取り直して、いつものドトールに行く。今日は特別に、コーヒーにアイスクリームを浮かべてもらった。おいしかった。
ドトールコーヒーだけはわたしのためにある。

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