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【ハズミがコワイ‼️】
「へぇ〜、そんなの、初めて聞きましたよ」
『世の中にはまだまだ、オレたちの知らない職業が沢山、あるってコトだね』
「たしかに。
でも、そういうのって、どうして知らされないんですかね?」
『必要が、ナイんじゃない?』
「必要性か、、、
でも、ですよ。知らないから、そういう職業がドンドン廃れていくのかもしれませんよ」
『うーん、それはどうかな?
知られる必要がないからといって、その職業、というか、その仕事が必要じゃないコトも、ナイ。
むしろ、、、』
「知られない方が、イイ?」
『まっ、そういうコトで』
「例えば?
例えば、どんな仕事ですかね?」
『それ、今、聞く?
しかも、オレに?』
「そうですね。
こんな機会は滅多にありませんから」
『滅多にあったら、オレが大変だろ?
そっちも困ると言えば、困るだろうし。
違うか。もう十分に困ってる、だな』
「十二分に困ってますね。困るという表現では全然、足りないんですけど。
足りない、なのか、足らない、なのか、、、」
『さっきから気になってるんだけど、さ。
どうして、そんなに落ち着いてるの?
これまでの奴と違って、いつもの感じにならないんだよ』
「落ち着いてなんか、ナイですよ。
心臓はバクバクしてますし、ほら、手汗もビッショリ。
声も掠れてきましたし」
『そういうんじゃねぇんだわ。なんていうの、、、
緊張感というか、緊迫感かな。
切迫感かもな』
「それはまぁ、ヒトそれぞれで。
私史上、最高に切迫してますよ、、、
ワタシジョウ?
わたし、しじょう、で、イイんだよな。ふむふむ。
いや、そうでもないかな」
『ほら、それだよ。
思い出したり、言葉遊びみたいな感じ』
「これが切迫してるサインですかね。
いつもは心の中でしか、言わないけど。
ほら、今は全部、言葉として出ちゃってるから。
ついでに心臓も、飛び出ちゃいそう。
それ、一旦、仕舞ってもらえますか?」
『コレ?
そりゃダメな相談だな。相談は受け付けない』
「じゃあ、こうしましょう。
仕舞わないというのは分かりました。
テーブルに置く、というのは?」
『、、、嫌だな。
おい、何、考えてる?』
「指にかかってるのが、コワくて。
ハズミとか、あるから。地震とか、警報とか。
たまたまで、弾が、みたいに」
『ほら、また出た。
ジョークが過ぎるなぁ』
「それだけ緊張してるんですよ」
「まぁ、そうだな。とりあえず、置くかな」
『助かりました』
「多分、助かってはないけどな」
「状況が少し落ち着いた、というコトです」
『さっきのさ、アレ。
今よりも、切迫してた、っていうやつ。
話せよ』
「よく覚えてましたね。スゴイ」
『オレを煽てても、何も出ないゾ』
「そっかー、ダメか、ってそんなの期待してませんよ」
『で?
何があったんだよ』
「そうですね。
ハズミで、テーブルがひっくり返って、ハズミで、いつの間にか結んでた紐が切れてて、ハズミで、その自由になった手に、ハズミで、銃が握られたりして」
『はぁ、そんなコトあるかよ』
「なかなかないんですよ。初めて聞いた話でしょ?」
『そうだな。そのハズミって何だよ』
「あっ、私の名前です。
申し遅れました、私、暗殺者の暗殺者をやっております、はねの羽に、澄んだ瞳の澄で、羽澄と言います。
清掃員と呼ばれるコトもあります。
ねっ、初めて聞いた、アナタの知らない職業があるでしょ😊」