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《隠してるのは、誰のため⁉️》【統制環境とキャリア20】
『とうとう、連れてくるんだってよ、佐久間さん』
「そうですか。良かったですね」
『良くはない。全然、良くないよ。
物凄く酔っ払って、電話、かけてきてさ。
運動不足解消のため、歩いて帰っております、みたいな、おかしなコト、言ってたな。
で、隣にいる、とか、何とか言ってたけど、酔っ払いはだから、嫌なんだよ』
「電話、出られたんですね?」
『たまたま、な。
ちょうど良かったんだな、タイミングだよ』
「お好きなんでしょうね、佐久間様のコト、やっぱり」
『腐れ縁てやつ?
可愛がられてたコトは確かだけど』
「今も沢山、お仕事をいただいてますので、可愛がられてる、ですけどね」
『どうせ、ウチの会社が何をやってて、どうやってるかも、知らないんだぜ、きっと。
だからかな、その変な奴を連れてきて、調べさせようとしてるかもな』
「そういうタイプには思えませんけど、私には」
『意外と、したたか、なんだよ、あの親父。
先生のコトは褒めちぎってるけど、な』
「有難き評価、身に沁みております」
『そういうコトなんだよ。誰を抑えればイイのか、しっかりハッキリ、分かってるんだよ』
「でしたら、その、連れて来られる方も信頼できるのでは?」
『だから、嫌なんだよ。
多分、優秀な奴だよ。優秀も色々だけど、あの親父の目に適った奴なんて、ロクな奴じゃない』
「ですね。
よーく、分かります」
『何の情報もくれないんだぜ、ソイツのこと。
俺たちが凄い調べ方するの、知ってるからだな。
だから全然、教えてくれない。
隣にいるなら、普通はさ、挨拶させるだろ、今度、連れてくるぐらいなんだから』
「普通、は、ですね。
登場人物の誰もが普通でないのを、間近で観るのも悪くないですね」
『先生さ、アンタも相当に普通じゃないよ?』
「それは心外ですね。
私は非常に普通ですよ、今は。
普通を絵に描いたら、私がそこにいるくらいに、普通です」
『もうさ、そういう表現が、いちいち普通じゃないんだよ』
「失礼しました。
でも、徹底されてますね、佐久間様。
それだけ、大事に大事に、繋いでくれようとしてるんですね」
『まぁな。
すぐ、俺がバッサリするのもさ、知られてるからね』
「たしかに。何でしたっけ、前に紹介された方、、、
もう名前も思い出せないですけど」
『そういうのも、いたな。
何だっけ?』
「私も、普通じゃない会社で、普通じゃない社長に仕えて、思い出すというスキルを失いつつありますね。いかん、いかん」
『振り返ったって、ゴミしか残ってないんだから、前を向いて、先だけを見てれば、イイんだよ』
「それはまた、真っ暗で何も見えなくて、ツライんですけど、ね‼️」