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【noteで学ぶ腸内細菌学80番外篇:温泉に行ったので『レジオネラ属菌』を調べた】
こんにちは(o・ω・o)カエルです。
最近、温泉に行ってきましたが、浴場の入り口にこんな感じの看板がありました。※実物とは異なります
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と言うことで、皆さまは『レジオネラ菌』をご存知でしょうか?
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細菌には良いものも悪いものも無数に存在していますが、レジオネラ属菌に関しては「ヒトにとって有害」に分類される細菌と言えます。
レジオネラ (Legionella) は、レジオネラ属に属する細菌の総称。
レジオネラ肺炎(在郷軍人病)等多くのレジオネラ症を引き起こす種を含む。
少なくとも46の種と、70の血清型が知られている。通性細胞内寄生性菌である。
ヒトの生活する環境においても、大量の水を溜めて利用する場所でレジオネラが繁殖する場合が知られている。
特に Legionella pneumophila は、空調設備に用いる循環水や入浴施設においてよく見られ、しばしばこれらの水を利用する際に発生する微小な水滴(エアロゾル)を介してヒトに感染する。
とのことで、エアロゾル感染する細菌です。
色んな場所に存在していますが、ヒトに近い所で感染リスクが高い場所だと『貯水池』『河川』『温泉』『プール』『浴槽』などが挙げられます。
とは言っても、ヒトが利用する施設ではほぼ「レジオネラ菌検査済み」のため、安全性は保証されております。
なので滅多にレジオネラ属菌の被害に遭うというニュースなどは聞きませんが、一度感染すると厄介なのが特徴の1つでもあります。
レジオネラを含んだエアロゾルがヒトに吸入されると、レジオネラは肺胞に到達し、そこで肺胞のマクロファージに貪食される。
しかし、レジオネラは通性細胞内寄生性であり、その殺菌機構を逃れてマクロファージ内で増殖することが可能である。
ヒトには取り込んだ細菌を死滅させるためのマクロファージと呼ばれる自然免疫システムが存在していますが、
マクロファージは、直径15~20μmの比較的大きな細胞で、全身の組織に広く分布しており、自然免疫(生まれつき持っている防御機構)において重要な役割を担っています。この細胞は、体内に侵入した細菌などの異物を食べる能力に優れており、食べた細菌を消化・殺菌することで、細菌感染を防いでいます。
レジオネラ属菌はこのマクロファージに食べられた後にマクロファージの中で増殖する能力を有しており、死滅させることが困難なことで知られています。
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また、自然界においてもレジオネラ属菌はアメーバに寄生しアメーバを殻(宿)代わりとしているため、殺菌するのも簡単ではないことが分かっています。
とはいえ少なくとも、現代日本にある公共施設でこのレジオネラ属菌に感染することは稀だと思われますが(この辺りが日本の衛生観念を象徴していると思います)、レジオネラ属菌に感染すると以下のような病気を発症することが分かっています。
■レジオネラ症(legionellosis)
レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)を代表とするレジオネラ属菌による細菌感染症。
・重症の肺炎を引き起こす「レジオネラ肺炎(在郷軍人病)」
・一過性で自然に改善する「ポンティアック熱」
の2つが知られている。
■レジオネラ症の症状
レジオネラ症の潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、2~10日。
レジオネラ肺炎は、全身倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛などの症状に始まり、咳や38℃以上の高熱、寒気、胸痛、呼吸困難が見られるようになる。
まれに、心筋炎などの肺以外の症状が起こることもある。
また、意識レベルの低下、幻覚、手足が震えるなどの中枢神経系の症状や、下痢がみられるのもレジオネラ肺炎の特徴。
軽症例もあるものの、適切な治療がなされなかった場合には急速に症状が進行することがあり、命にかかわることもある。
正直、温泉やプールでレジオネラ属菌に感染することはほぼ無いと考えられますが、この季節、河川で泳ぐ機会がある人もいるかもしれません。
汚れた河川や滝など水飛沫がある場所では注意が必要です。
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まあ、汚れた河川や滝に行く人は少ないとは思いますが……。 (自然研究などのフィールドワークを行う人は要注意)
以上がレジオネラ属菌についての基本知識。
活用する機会はほぼ無いと思いますが、お子さんがいる方はお子さんが遊びに行く場所などちょっと気がけていても良いかもしれません。
参考にどうぞ(o・ω・o)