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いま、日本外交が面白い:QUAD諸国との連携で日本は歴史的な分岐点へ!

茂木外相が、アメリカ・オーストラリア・インドの外相と、いわゆるQUAD(クアッド)諸国での会談を行ったと思えば、中国の王毅外相が日本を訪問するという話があった(その後、延期になることが決定した)。

すごい絵面だ・・・と個人的には思う。

今、いったい何が起こっているのだろうか?10年後、20年後から振り返ったときに、今は歴史の分岐点だったという評価になるのではないかと素人ながらに感じているので、簡単にまとめてみたいと思う。

いま世界で起きていること

いま、世界で起きている最大の事象は、アメリカVS中国の米中覇権戦争である。

日本のテレビの報道だと、なんとなく気まぐれな暴れん坊トランプ大統領が感情的に中国に貿易戦争を仕掛けた、というような論調になっていて、「まあ、日本にはあまり関係のない出来事だよねー」と捉えている人も多いかと思う。日本人はお人よしだから、「米中の仲が悪くても、日本は両方と仲良くしたいよね~」と思う人が多いのも理解できる。

しかし、それは間違いである。

アメリカは、自分自身の覇権に挑戦する者を絶対に許さない。日本も第二次大戦と、バブル経済期の経済戦争で二度叩き潰されている。特に、戦前にアメリカが日本を叩き潰すためのいわゆる「オレンジ計画」を発動したのは、1920年ごろとされる。日本を潰すために、アメリカは20年以上のロング・マラソンを走ったのだ。中国が例外であり続けることはないだろう。

特に、5Gなどの特定の分野では、中国はアメリカの技術をすでに上回っている。その優れた技術で世界に通信網を引けば、情報通信覇権は中国に取られてしまうという恐怖が、アメリカのエスタブリッシュメントにはある。

アメリカは本気だ。おそらく、ロング・マラソンを走るだろう。それは、大統領が誰であろうと変わらない。日本は決して、その覚悟の本気度を過小評価するべきではない。

たぶん、日本人のほとんどが思っている以上に、米中覇権戦争は本気のバトルなのだ。

そもそも覇権って何?日本に関係するの?

平和を愛する日本人にとって、「世界覇権」というのは全くピンとこない概念だと思う。けれども、これも日本人の生活にとって関係大アリだ。

世界覇権」とは、ザックリ言えば「オレ流のルールでやれ!」と言うことである。今、世界の多くの事象はアメリカルールで動いている。その最たるものが、ドル取引である。国際標準語とされているのも、英語だ。

日本はアメリカに敗北してから、様々な面でアメリカ化したし、日米同盟もあるから、「アメリカ流ルールでやれ!」と言われても、ムカつくけどまだ許容できる面がある。何よりも、日本とアメリカには、自由と民主主義を標榜する資本主義国家という共通項がある。

この覇権を、中国はアメリカから奪おうとしている(と、少なくともアメリカは考えている)。5G通信網が中国ルールで世界中に敷かれたら、それはまさに情報通信の覇権を中国が取ることに同義である。経済面でも軍事面でも中国がアメリカを凌駕すれば、いずれ経済取引は中国通貨で決済され、中国語が世界共通語として話されるようになる時代が来るかもしれない。

これが、覇権の移行である。日本が無関係でいられるわけがない。

日本の置かれている状況

そういう大きな流れが起きている中で、日本はどのように立ち振る舞うべきだろうか?

1.米中覇権戦争がロングスパンで続く

2.日米同盟がある

3.中国は尖閣諸島及び沖縄の領有権を主張している

この三つのできごとを並べて考えてみたときに、「日本は米国側に立つ」というのは、自明のことのように思えるが、話を複雑にしている4つ目のファクターがある。

4.中国はお金儲けをさせてくれる

安い人件費を求めて日本企業は数多く中国に進出してきたし、10億人の市場は魅力的だし、購買力を増した中国人は日本にやってきて爆買いをしてくれる(インバウンド)。

中国相手のビジネスで収入を得ている人も、大勢いることだろう。それを考慮すれば、「米中対立なんて忘れて、日本は両方と仲良くしよう!」「安全保障はアメリカ、経済は中国。両国としたたかに付き合おう!」という考え方も理解はできる。

しかし、この考え方には少なくとも三つの過ちがある。

第一に、本気でバトルしている米中において、同盟国とともにその敵国とも仲良くしようというのは「二股」である。人間関係に例えれば「不倫」であるw 日本はうまくやっているつもりでも、アメリカの立場からすればそうは見えない。この観点が欠けている。第二に、日本人のようなお人好し民族が、アメリカと中国というクセの強い大国相手に「したたかに立ち回る」など不可能である。しかも、日本は両国とちがって諜報機関がない。情報収集ひとつとっても圧倒的劣勢なのに、どうやってしたたかに立ち回るというのか。身の丈に合わないことをするのは、身の破滅を導く。第三に、このバトルは恐らく最終的な決着がつくまで続く。勝った側は、恐らく次の時代の戦勝国となる。どっちつかずで両方にいい顔をするというのは、戦勝国入りをする(=次の時代に大儲けをする)チャンスを逃すことになる。日本は世界第三位の経済大国で、日本の動きは覇権戦争の決着に大きな影響力を有するという自覚をもって行動すべきだ。なんとなく八方美人でやり過ごすのは、戦勝国入りのチャンスをみすみす逃すことになる。小利を得て大利を失うべきではない。

日本の覚悟が試されるときが近づいていると考えた方が良い。

伏線としての「自由で開かれたインド太平洋」

そんな情勢のなか、「自由で開かれたインド太平洋」が着々と進行している。


この戦略の前身が、安倍さんのセキュリティ・ダイヤモンド構想であることを考慮すれば、非常に面白い事実に気づく。

セキュリティ・ダイヤモンドが発案された時期は、まだまだアメリカは中国との金儲けにいそしんでいた。その時点では、日本は膨張する中国と突出して対峙しないといけない状況であった。

しかし、米中覇権戦争がはじまり、オーストラリアも中国に激おこ状態となり、インドと中国も紛争をかかえる今、日本は突出して中国と対峙する必要がなくなった。

自由で開かれたインド太平洋は極めてタイムリーな国際的枠組みと言える。

という状況を踏まえて冒頭のニュースを改めて考えてみると

という状況を踏まえたうえで、冒頭のニュースを眺めてみるとどのような印象を受けるだろうか。

QUAD諸国の要(かなめ)の役割をしているのが日本であり、東アジア地区における自由と民主主義の牙城とも言える。一方で、中国はQUADの連携を崩したいので、日本にラブコールを送ってきているという状況にみえる。

日本人はお人よしなので、強面だと思っていたおじさんが実は心優しかった・・・(TT)と思って感動する人も多いかも知れないが、中国のラブコールはQUADの戦略的な切り崩しの一環である。日本にとっては「絆」を取るのか、「お金」を取るのか、という問題ともいえる。

これって、あえて矮小な例えに落とし込めば、地味でイモっぽかった子が、自分の魅力に気づいて急にモテ期が訪れた、ということなのかも知れない。「日本は魅力的な美人」である。地勢学的に、ユーラシア大陸の東の端に位置する島国という、戦略上の重要拠点だ。ユーラシア大陸から見れば、太平洋への進路を塞ぐ邪魔者であり、北米大陸から見れば非民主主義勢力の膨張を止める防波堤でもある。地勢学的に「取り合い」になるのは必然だ。ただ、これまでの日本の外交がヘボ過ぎて、その魅力を十分に発揮できていなかった。安倍政権の積極的な外交によって、日本の魅力はようやく開花したのかもしれない、知らんけどw

さて、こういう状況で、日本はどうふるまうのか。10年後、20年後の日本の立ち位置を決めるかもしれない重大局面が近づいている。そういう目で見れば、今の日本外交は極めて熱いと思う。

外交ダメダメと言われてきた往年の日本を考えれば、まさに隔世の感があるが、感慨に浸る余韻も少なく、国民も関心を高めていく必要があると思う。

こういう簡単な流れの解説つきで、ニュース報道をすればよいのにと思う今日この頃である。


国会議員は国家百年の大計を練るべきとき

そういうわけで、いま日本は極めて重要な分岐点にいるとみるべきだ。

今後百年の日本の立ち位置を決めるかも知れない面白い時代がやってきている。国会議員や外交官にとっては、血沸き肉踊らないのだろうか。

野党も不祥事の追求ばかりしていないで、こういう国家百年の大計を論じる好機を存分に生かして、与党と対峙していただきたい。それが日本の政治家のレベルを上げると思っている。


(画像は写真ACから引用しています)


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