読書を習慣化するコツ
佐藤優『読書の技法』を読んでいます。
速読をする目的は、手元にある本について「時間をかけて丁寧に読むべき本かどうか?」を判断することです。
この根本にあるのは、「時間は有限であり、希少財である」という考え方です。一生のうちに熟読、精読できる本の数は限られています。
本を読む時間が無限にあるのであれば話は別ですが、時間に限りがある以上、「じっくり読むべき本」と、「ピックアップして読めばいい、あるいは読むのをやめていい本」を仕分けることは重要です。
もちろん、多くの人は「全部読む」前提で本を買うと思います。
選んだ本が自分にとっての「アタリ」本、運命的な本であることを願って、数百円、数千円を支払うわけです。
それでも、家に帰って読んでみると「なんか違うな…」と感じることは往々にしてあります。わざわざ速読をして全ページに目を通さずとも、冒頭部分を読んだだけで、「ハズレかも…」と気づくことだってあります。
読書が苦手な人は、そんな「ハズレかも…」な本を頑張って読み切ろうとして、案の定挫折し、ますます読書が苦手になる、という悪循環に陥りがちです。
読書を習慣化するコツは、「読むのを途中でやめる」という選択肢を持つことだと私は思っています。
「せっかくお金を払ったのだから、全部読まないともったいない」と思う気持ちもよくわかります。しかし、「つまらないな~」と思いながら頑張ってページをめくる時間の方が、よっぽどもったいないのではないでしょうか。
「お金」を選んでつまらない本と向き合い続けるか、「時間」を選んで別の本にうつるかでいったら、私は後者の方がいいという考え方です。
有限であり希少財である時間を、つまらない本と向き合うことに使ってしまってはもったいない。
『読書の技法』で紹介されているように、速読を通じて「仕分け」を行うことも有効ですし、単純に「つまらなかったらやめる」と決めておくこともひとつの方法です。
そして何より大事なことは、本を買い続けることだと、私は思っています。
本を継続的に買い続けていれば、それだけ「アタリ」の本を引く確率は高まりますし、だんだんと目利きの力もついてきます。
世の中に本は死ぬほどたくさんありますが、あなたにとっての「アタリ」本は、それほど多くはありません。そのことを前提に、どんどん本を買って、どんどんハズレの本を引いていきましょう。
そして「ハズレ」だった本は、「読みましたよ」という顔をして、本棚に並べておけばいいんです。「積読が増えた…」と罪悪感を感じる必要はまったくありません。そうやって「ハズレ」の本を積み重ねることでしか、本当の「アタリ」本と巡り合うことはできないんですから。
「ハズレ」本の積み重ねの先で、時間を忘れて浸ることができるような本当の「アタリ」本と巡り合うことができれば、そのころには立派な読書好きになっているはずです。