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何度でも戻ってくるイヤホン
無くすことが非常に多い物の一つが、イヤホンという存在だ。
数年前に有線のイヤホンからワイヤレスイヤホンに買い替えてからというものの、幾度となく姿を消した存在だったのだけど、なぜだかその度に自分の手元に舞い戻ってきた。
そもそもなぜこんなに無くすのかと言われれば
その絶妙な「サイズ感」にあると思っている。
大きすぎず小さすぎない、掌に収まるほどの手頃な大きさなので、ポケットにもすんなりと入るし、バッグの中では縦横無尽に暴れ回る。
さらに言えば、イヤホンの本体とイヤホンケースの二つに分離するワイヤレスイヤホンの形態は、無くす確率も二倍に跳ね上がっていると推理できる。
耳から取り外した後にうっかりポケットにでも入れていると、もう危険信号が灯っていると言えよう。君が目を離した隙には、忽然と姿を消している。
出先でふとイヤホンをつけようとイヤホンケースを開くと、中が空っぽだった時の絶望感と言ったらもう。どう楽観的に考えても、イヤホン本体が無事である未来が想像できない。
しかし、そう言った絶望的な状況だったとしても、自分はイヤホンを発見してきた。
ポケットの中で散乱している場合もあれば、実はイヤホンケースのみを持って出かけていて、本体は部屋の机の上に放置されていたこともある。
お察しの通り、大体自分のうっかりミスで発覚する場合がほとんどだが、ある日どれだけ探しても見つからず途方に暮れていた時に、何気なく覗いたベッドの下に転がっているイヤホンを見つけた瞬間は、その年の感動したシーンランキングベスト3に表彰されるぐらいの出来事だった。
しかし、そんな感動を経験した後でも、イヤホンケースごと各所に置き忘れるミスをそれなりに経験する事になる。銭湯の脱衣所、友達の部屋、レンタカーの座席の下、飲み会のお店など、バリエーションだけは豊かだ。
そうやって、何度となく肝を冷やし、冷や汗を流した後でも、必ずどこかしらから突破口を開き、自分の手元に帰還してくるこのイヤホンへの信頼は、もはや揺るぎのないものとなっている。
◇
そんなワイヤレスイヤホン。最初に買ってから今の今までずっと使い続けているのが「Anker」のワイヤレスイヤホンだった。
最初、自分にとって初めてのワイヤレスイヤホンということもあり、なんとなく高い商品には手を出しづらく、どれが良いのだろうと悩んでいた。
一通り調べた結果、巷で「コスパが最強」と呼ばれるこの「Anker」のイヤホンを購入したのだけど、これが滅茶苦茶使いやすかった。
そもそも「コスパが最強」と言う触れ込みでとりあえず買ったイヤホンだったので「まぁ壊れてしまったら仕方ない、次はAirPodsを買いたいな」とうっすら願望込みで考えていた。
しかし、このイヤホン全く壊れなかった。
それはもう頑丈だった。
AirPodsなんかにうつつを抜かすなと言わんばかりに、その頑強な体と颯爽とした身のこなしで、ここまで修羅場を潜り抜けてきたのだ。
何年も使い続けていると愛着もそれなりに湧いてきているので、今はこのイヤホンとともに出来るだけ長く駆け抜けて行きたいと思っている。
この文章を読んで「ワイヤレスイヤホンを使ってみたい」と思った方がいれば、是非ともイヤホンとの信頼関係を構築してみてほしい。
無くした後のきちんとしたケアが重要だ。
孫と接するがごとく、労ってあげよう。
そうすれば、きっとイヤホンもその信頼に応えてくれるはずだから。