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町中華での悩みは尽きない
誰もが「今日はチャーハンを食べずにはいられない」と固く心に決めた日があるはずだ。
なんたって、このnoteを書くために「記事に合う画像」を探すなかで、黄金色のチャーハンを目にしてしまった自分が、もうすでに食べたくなっているのだから。
しかし、ご家庭で本場のチャーハンの味を再現するのはなかなか難しい。
家のキッチンとは火力が違うのか、それともあの真っ赤な色した店内で食べるから絶品なのかは定かではないけれど、絶対に中華料理屋で食べるほうがおいしいと思ってしまう。
そこで、チャーハンを食べるのに適しているのが「町中華」。昔ながらの雰囲気だとなおいい。シンプルなメニュー名が貼り出されてるともっといい。
もちろん、チャーハン以外を食べても構わない。自分はチャーハンを食べようと店に入ったのに、中華そばを注文している日が結構ある。チャーハンは大らかな性格だから、きっと許してくれるはず。
ただ、町中華でチャーハンを食べるにあたって、いつも直面するのが量の多さ。
町中華のチャーハンって、なぜあんなにもサービス精神旺盛なのだろう。まるで巨大どんぶりをひっくり返したような米の山が出てくると、本当に今から登山するんじゃないかと思うくらい、いつも心を引き締めている自分がいる。
絶対に途中で引き返すわけにはいかないと覚悟を決めて、れんげを手にとり米を掬う。めっちゃおいしい。そして、できるだけおいしいと感じている間に全てを食べきる。これが長い戦いの歴史のなかで見つけた秘策だった。
そして、なけなしの戦術にも翳りが見えつつあった去年の秋ごろ、ようやく自分の胃のサイズにあった町中華のチャーハンを見つけた。
その日もチャーハンを食べずにはいられない日だった。映画を観たあと、よく通る帰り道。川を渡ってすぐの道すがらに、その町中華はあった。
お客さんが店の脇に並んでいるときもあれば、時間帯によってすぐに入れるときもある。せっかく帰り道にあるのだから、一度は入ってみたいと思っていたお店。
意を決してのれんをくぐると、すぐに席に案内された。ほかのメニューに気をとられつつも、今回はまっすぐにチャーハンを頼む。チャーハンがいつも大らかに許してくれるとは限らないから。
そのお店で食べたチャーハンは、今まで食べたチャーハンでいちばんおいしかった。味つけはごくごく普通で、特に凝った材料を使っているわけではないのに、理屈抜きでどんなチャーハンよりもおいしいと感じた。
それから帰り道にある町中華では、いつもチャーハンを注文する。正直、ほかのメニューも気になるのだけど、なんかやっぱりチャーハンを食べたくなってしまう。
この前、初めて違うメニューで野菜タンメンを頼んだ。理由はあまりにも寒い日で、どうしても温かいスープを飲みたかったから。
その日食べた野菜タンメンも、びっくりするくらいおいしかった。じゃあ、ほかのメニューも絶対においしいじゃないか。餃子も野菜炒めもレバニラ炒めも。
どんどん選択肢が増えていく。次、訪れるときも十中八九あれこれと迷う。でも、結局のところチャーハンの魅力には抗えないのだろう。
やっぱり町中華での悩みは尽きない。