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ベースラインが奏でるメロディ
普段、音楽を聴くとき「ベース」の音に集中して聴くことはあるだろうか。
正直、あまり楽器に関心のない人は、真っ先に耳に入るボーカルの歌声や、ギターとピアノなどの主旋律に注目してしまう人が多いのかもしれない。
しかし「ベース」はドラムと合わせて「リズム隊」と総称されるように、そのバンドの屋台骨でもあるのだ。
さらに、ベースはリズムを司るだけではなく
メロディラインを弾くことだってできる。
余談だが、自分は高校、大学時代を含めて7年間ベースを弾いてきた。(今は全く弾けてない)
それまではベースの低音なんぞ、全く耳に入ることはなかったのだけど、弾き始めてからは自然とベースの音に耳を傾けるようになった。
意識して聴いてみると
しっかりと主旋律の裏に存在している。
だから、聴こえないなんて言わないで。
ちゃんと鳴っているから。
ちなみに、ベースが目立つ時と言えば「ベースソロ」や指で弦を叩く「スラップ」と呼ばれる奏法で奏でられたメロディが印象的。
しかし、自分が好きなベースは目立つ音というよりは、リズミカルに音程が動く「ウォーキングベース」と言われる「ベースライン」が好きなのだ。
決して大きな歓声を浴びることはないけれど、曲の中で自然と溶け込むように響き渡るベースラインは、体が勝手に揺れてしまうような心地よさを感じる。
そんな訳で、今回は自分の好きなベースラインをいくつか紹介してみようと思う。
渚/スピッツ
最初に紹介するのは、誰もが知る国民的ロックバンド「スピッツ」の夏曲であり、ポッキーのCMソングとしても話題になった「渚」という楽曲。
ボーカルの草野マサムネさんによって放たれる、マイナスイオンが出てるかのような爽やかな歌声が印象的なこの曲では、疾走感のあるドラムもさることながら、イントロのベースラインがとても印象的。
これから始まっていく甘酸っぱい青春を想起させるようなメロディで、決して特別な奏法を取り入れているわけではないのに、ずっと頭に残って離れない。
ちなみに「スピッツ」のライブでこの曲を聴くと、ベーシストである田村さんの縦横無尽な暴れっぷりに驚かされる。イントロの爽やかさからは想像できないほど、曲中ではステージの端から端まで駆け抜けている。
これから暑い日々が続いていくにつれて、聴く機会が増えるだろうと思うので、是非ともベースラインにも着目して欲しい。
自虐家のアリー/amazarashi
次に紹介するのは日本のロックバンド「amazarasahi」の「自虐家のアリー」という楽曲。
日常で降りかかる悲しみや苦しみを浴びながら、絶望の中にある微かな光を見出すように歌われる歌詞が「amazarasahi」の最大の特徴でもある。
物悲しいイントロから始まる、この「自虐家のアリー」という楽曲では、家族に愛されたかった少女の悲痛な想いが綴られている。
そんなこの楽曲では、ベースの音が曲の中を蠢くように張り巡らされていて、ずっと耳をついて離れない。低音が心の奥底まで残響する。
特に、Bメロで流れるベースラインがとても好きで、この箇所だけ自分で弾いてみたくてコピーしたこともあるぐらい。
また、曲終わりにアウトロで流れるベースも、物語にどこか不穏で後味の悪い余韻を残していて、曲の雰囲気と調和した素晴らしいベースラインだと思う。
その手をつなげたら/aquarifa
お次に紹介するのは、4ピースバンド「aquarifa」
圧倒的な技術からなる楽器隊のエモーショナルなサウンドと、ボーカルの岩田真知さんの儚げな歌声が独特な世界観を創り上げているバンド。
2017年に無期限の活動休止を発表したものの
2019年に音楽活動が再開された。
最初にその一報を聞いた時は、めちゃくちゃ嬉しかった。まだライブは見に行けてないのだけど、必ず行くと心に誓っている。
この楽曲は「その手をつなげたら」という楽曲で、爽快なイントロから始まり、サビに近づいていくにしたがって、その抒情的な世界観に引き込まれていく。
その中でも、Bメロの流れるようなベースラインが、颯爽と流れていく曲の中でも確かな存在感を持って印象強く響いている。
ボーカルのメロディや曲のコードと並んで、別軸としてベースラインが組み込まれているのだ。それが一種のアクセントとなっていて、曲の幅を広げている。
「aquarifa」は大学時代にコピーしたこともある思い出深いバンドなので、ぜひ気になった人は他の楽曲も聴いてみてほしい。
二月のセプテンバー/GOOD ON THE REEL
次に紹介するのは「GOOD ON THE REEL」の「二月のセプテンバー」
なんともチグハグなタイトルではあるけれど、曲自体はボーカルの千野さんによるハイトーンボイスが力強く響き、一抹の切なさを感じさせる一曲に鳴っている。
この曲では、Aメロで小気味よく鳴らされるベースが好きで、ぽつぽつと言葉を零すように歌われる声と絶妙にマッチしている。
あと、この曲に限らず、1番サビとラスサビでベースラインが変わる曲を聴くと何だか嬉しくなる。ちょっとした変化ではあるのだけど、聴いていると「おっ」と思うし、ベーシストのこだわりが凄く感じられるから。
しかし、ひとたび曲をコピーする側に回ると「サビは全部同じにしてくれ」と思ってしまう。
コピーの手間も増えるし、うっかり間違うから。
わがままなやつだなぁ。
ベースマン/andymori
最後に紹介するのはスリーピースバンド「andymori」の「ベースマン」という楽曲。
その名の通り、ベースが主役と言ってもいいほど主張する楽曲ではあるのだけど、そこで鳴り響いているのはボーカルの小山田さんの歌声を引き立たせるように、支えるように流れるメロディ。
イントロや間奏で流れるベースラインも好きなのだけど、曲中でつい体を揺らしてしまうようなテンポ感で動くベースの音に、自分は大きな魅力を感じてしまう。
特に「andymori」のベーシストである藤原寛さんが作り出すベースラインは、思わず踊り出してしまうぐらいリズミカルな音が散りばめられていて、今でも憧れのベーシストの一人。
また、スリーピースバンド(ギターボーカル・ベース・ドラム)は通常のバンドと比べて音数が少ない分、ベースラインがメロディ部分を補うことが多い。
そのため、よりベースラインに趣向が凝らされていて面白いので、少しでもベースに興味があるなら聴いてみて欲しい。
最後に
こうしてみると、Bメロのベースラインを自分は特に気に入っているらしい。今度から注意して聴いてみよう。
実際のところ、Bメロに限らず、ベースの音を集中して聴く機会はあまり無いのかもしれない。
しかし、よくよく聴いてみると曲の中でボーカルとギターを支えるようなベースラインは、縁の下の力持ちにように、決して目立つことがなくともバンドの骨格をなしていることが分かるはずだ。
なので、一度ベースの音を聴くつもりで曲を聴いてみて欲しいと思う。
今まで聴こえてこなかった音が
必ずそこにあるはずだから。