共通テストと人生のための本当のハック

　圧倒的な知力と圧倒的な感謝を兼ね備えた吾輩だかこそ可能な共通テストハックを諸君に進呈してくれよう。　

　「自分の力を信じろ」と諸君はこれまでに耳にタコが卵を産み付けるほど聞いてきたことであろう。その言葉自体は完全に善意からなされたものであり、いみじくも大部分はその内容は真実である。まずは可能な限り己を信じよ。

　しかし、多くの場合その言葉を本心から発することの出来る人間は、勉強で本気になって苦労したことがないか、あるいはたまたま勉強で挫折することがなかった者たちである。

　受験勉強において、ことに共通テストにおいて、信じていたはずの自分に裏切られるということは、往々にしてあり得ることだ。思ったように頭や手が動いてくれない。どういうわけか意に反した肢を選んでしまう。そうしたことは確率の問題として常に生じてしまう。

　しかし案ずることはない。自分は自分を裏切るかもしれないが、自分のことを決して裏切らぬ他者がいる。必ずいる。必ずいるのだ。彼を、彼女を信じよ。

　それが諸君にとって親であるのか友人であるのか祖父母であるのか教師であるのか親戚であるのか推しのアイドルであるのか二次元の住人であるのか生き別れの姉弟であるのか運命の恋人であるのかペットの犬畜生であるのか憧れの先輩であるのかよくいくコンビニやマクドの店員であるのか、そんなことは吾輩は知らぬ。しかし、必ずいる。

　必ずいる。もし諸君の結果が諸君の望むものでなかったとしても、
　「大丈夫だ、一緒にいるよ」と慰撫し鼓舞して寄り添ってくれる存在が、
　「たかが受験じゃないか」とゲラゲラと笑い飛ばしてくれる存在が、必ずいる。
　必ずいるのだ。

　諸君を愛する他者を信じよ。

　諸君が愛する他者を信じよ。