蕗がつなぐご近所ネットワーク
4月も半ばが過ぎ、蕗の薹が顔を出てから1ヶ月ほど経ったろうか。
庭の蕗の薹はちょっと見ぬ間に伸びて30~40cmほどの高さに。
水筒の高さが17.5cmほど。蕗の薹は伸びすぎてだれている。
蕗の葉も随分出てきて、勢いよく葉や茎が伸びている。
いや、茂りすぎじゃない?
もっさもさしたその収拾のつかなさは、自分の毛髪を見ているよう(強情であまりに毛量があるためヘアゴムやパレッタがあっという間に壊れるくらい生えています)。
ちょっと切れ込みが入った蕗の葉は、絵本の中で蛙や小動物が傘にしていそうなファンシーさがあり見るのは楽しいけど、葉が大きく広がると下の方の葉に日が射さず白っぽくなり、また辺り一帯の地面の風通しが悪くなってしまう。
要は、採り時。
一か所から大体3,4本生えているうちの一番太い茎を選んで刈り刈り。
一掴み分くらいあればよかろうか。
葉も食べられるけど、苦みが強くお子ちゃま舌の私はちょっと苦手な上にまだまだこれだけ生えているんで、申し訳ないけど葉は落としちゃう。
大鍋にたっぷり湯を沸かし、沸くまでの間に蕗の茎をよく洗って、鍋に入るくらいの長さにカットし、塩をふりかけまな板の上でころころ転がし板ずりに。
鍋の直径に合わせてカット。これを基準に他の蕗も切っていく。
上から両てのひらで抑え、この写真でいう上下方向に転がす。
お湯が沸いたら、茎が太いものから鍋に投入。
心持ちしなやかになったかなくらい(後からまた火にかけるから、さほどしっかり茹でなくてOK)でザルにあけ、冷水にしばしさらす。
蕗が固かったら両端からスジをぴーっと剥くけど、うちの蕗は柔らかく、スジを取りすぎると煮物にした時にむしろ腑抜けになってしまうんで、気になったら剥くくらい。私は蕗はシャクっとしている方が好き。このスジを取る作業があるから、なるべく切る本数を増やさないように大鍋で下茹でするんです。で、根気がいるから蕗を食べるのが時間と労力がある時になってしまい、そう頻繁に食べる気がしない。蕗との根くらべですよ全く。
ここまでが蕗の下処理。
あとは煮物にするなりきゃらぶきにするなり。
鶏ひき肉とお出汁でそぼろ煮にするにも好き。
今回は酒・出汁昆布・蜂蜜・醤油できゃらぶき風の煮物に。ごはんのおともにうってつけ。
しかし食べる量に対して蕗がありすぎる。太めの茎のものを少しばかり刈り取ったところで、あっという間に他の蕗がぐんぐん生長して一向に減らない。
そこで母がご近所ネットワークを駆使。
近所の方や出入りの方に蕗を採っていきませんかと声をかける。
スーパーに出ている水煮のパウチもいいけど、ここにあるのを採れば新鮮そのもの。香りや独特の苦さが違う。程良い量を自分で手をかけて作れば、愛着もわく。
中にはお子さんやお孫さんを連れて収穫体験をする方も。収穫って楽しいよね。子供のうちに草木に触れ合い五感を刺激する体験をしておくのは重要でしょう。
お母さんがお年召して好物の蕗をなかなか料理することができなくなったから、食べさせたいという方も。なんて素敵な親孝行。
あら、蕗の葉っぱを佃煮にされたんですか。いただきます。胡麻の香りに全然負けないですね。
へえ、蕗をきんぴらに。お酒の肴に持って来いと。なるほどねぇ。
まあ、ご実家から乾麺が送られてきたんですか。ありがたくいただきます。
などなど、蕗を刈っていってもらうだけでなく、レシピのヒントをもらって新たな引出しができたり、お裾分けをいただいたり、素敵なお話を伺ったり、何よりにぎやかなひとときをいただけて、こちらの方がなんだかいっぱいのもの・ことをいただきありがたい限り。
新型コロナウイルス禍が広がり遠出はかなわないけど、こうやってほんの少しでも春を楽しんでもらえたなら、こちらの方が嬉しくなってくる(もちろんお互いにマスクを着け、少人数で話すのは短時間、ソーシャルディスタンスを保つようにしていますよ)。
さて、だいぶさっぱりしたけどまだまだ蕗は伸び続けているから、うちも今晩は蕗にしよう。
今日もありがたくいただきます。