#366 「ビジネス頭の体操」 7月16日のケーススタディ
はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。
→部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。
7月16日(金) 駅弁の売上は6割減!?
1885年(明治18年)のこの日に開業した日本鉄道東北線の宇都宮駅で、日本初(諸説あります)の駅弁が発売されたことに因んだ「駅弁記念日」です。
この日、大宮駅~宇都宮駅が開通した。宇都宮市で旅館業を営んでいた白木屋嘉平が、たまたまその旅館に宿泊していた日本鉄道の重役の薦めで駅弁を販売した。黒ゴマをまぶした梅干入りの握り飯2個とたくあん2切れを竹の皮に包んだもの。
駅弁。
旅行も鉄道での移動も減少している状態ではかなりの影響を受けていそうです。
そもそもどれくらいの市場規模があるものなのでしょうか?
と、「駅弁」という括りでの売上が見つけられなかったのですが、一般社団法人日本惣菜協会「2020年版惣菜白書」によると、弁当を含む惣菜市場は2019年には10兆3,200億円となっています。
ここ10年での成長率で見ても、「内食」、「中食(=惣菜)」、「外食」の3つのカテゴリで最も伸びています。
業態別では、コンビニエンスストアが32.6%を占め最も多く、次に専門店他(ここに駅弁が入ると思われます)が28.8%、食品スーパーが26.6%となっています。
カテゴリー別では、米飯類が45.7%とほぼ半数を占め、次に一般惣菜が34.5%となっています。
全体では捉えられませんでしたが、駅弁を扱っている企業の決算を調べてみました。
まず、JR東日本のグループ会社、JR東日本フーズの決算公告を見ると以下の通り、2020年3月期売上高は443億円、5億円の赤字となっています。前期の売上高は580億円、利益は47億円でしたので、コロナ禍の影響と考えられます。
このコロナの影響ですが、JR東日本の決算説明資料の中にJR東日本フーズの対前年同月比の売上高の推移を示したものがありました(緑の点線)。
2020年4月5月は実に前年同月比8割の落ち込みとなっています。3月には回復しているように見えますが、2020年の3月との比較ですので、すでに影響が出ていた売上との比較になる点は注意が必要です。
JR東日本フーズは、かなり手広く駅ナカの飲食店なども展開していますので、駅弁の割合は相対的に低いかもしれません。
もう1社、JR東海パッセンジャーズの決算公告を見てみました。JR東海パッセンジャーズはHPを見る限りかなり駅弁比率が高そうです。
こちらは2021年3月期の決算になりますが、売上高107億円(60%減)、33億円の赤字、となっています。
2年前の2019年3月期の決算では、売上高349億円、6億円の黒字、でしたから大変な影響を受けていることが分かります。
さて、このように大きな影響を受けている駅弁。生き残りをかけてさまざまな取り組みが行われています。いくつかご紹介します。
まず、「ひっぱりだこ飯」などの人気駅弁を販売する淡路屋さん(神戸市)は駐車場でドライブスルー式で駅弁の販売を始めています。1日150〜200個ほどの売上があるそうです。
また、駅弁の通販に乗り出すところもあります。送料はかかりますが、旅行気分が味わえると人気があるようです。
最後に、コロナ禍でも地元の人に支えられ売上を維持したという国府津の駅弁の記事をご紹介します。
→駅弁。飲食店が弁当販売に乗り出すケースは多くあるが、駅弁というのは「駅」で販売されるもので移動が少なくなれば必然的に売上が減少する。その中でさまざまな工夫が伺えるが、他にどのような売上確保のアイディアがあるだろうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
皆様の頭の体操ネタになるものが1つでもあれば嬉しいです。
昨年の7月からこのような投稿をしてはや1年。以下のマガジンにまとめていますので、よろしければ覗いてみてください。
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