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#384 「ビジネス頭の体操」 8月11日のケーススタディ

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


8月11日(水) 巣ごもりでインスタント・コーヒーが負けた!?

1960年(昭和35年)のこの日、森永製菓がインスタント・コーヒーを発売した「インスタント・コーヒーの日」です。


インスタント・コーヒー、なんと、1771年(!)にイギリスで発明されたというものすごい歴史があるんですね。ただ、製品の貯蔵可能期間が短く普及しなかったそうです。その後、1901年に日本人の加藤博士がパンアメリカン博覧会で「ソリュブル・コーヒー」として発表しますが、事業化には成功しなかったようで、1906年に同じくアメリカでジョージ・コンスタント・ルイス・ワシントンが「Red E Coffee」として製品化し成功を収めたそうです。


インスタント・コーヒー。
一般社団法人全日本コーヒー協会「日本のコーヒー需給表」によると、日本のコーヒー消費量(生豆換算)は、
☑️ 1996年:35.2万トン
☑️ 2016年:47.2万トン
☑️ 2018年:47.0万トン
☑️ 2019年:45.2万トン
☑️ 2020年:43.0万トン
と2016年まで年々増加した後、ここ数年は微減となっています。

ほぼ全量を輸入に頼っていますが、今回のテーマであるインスタント・コーヒーの状態で輸入されるのは、2020年で約1万トン、生豆換算で2.7万トンと全体の6.3%を占めます。輸入元は半分弱がブラジル、3割弱がベトナム、となっており、マレーシア、コロンビア、ドイツ、と続きます。

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もちろん、国内でインスタント・コーヒーに加工されるものもあります。

では、飲まれているコーヒーの中でインスタント・コーヒーはどの程度を占めるのでしょうか?

量では換算が難しいので、「1週間当たりのタイプ別平均飲用杯数」というデータを見てみましょう。

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これを見ると、インスタント・コーヒーが最も飲まれていたことが分かります。が、2020年にはレギュラーコーヒーに逆転されています。

この、レギュラーの昨年伸びは、業界でも話題となったようで、2020年9月の食品産業新聞では、

“おうちカフェ”デビューの人が増えたことも追い風で、特に各社を驚かせたのは、4〜6月の販売金額が前年比で約1.5倍伸びた豆製品だ。こだわり派や豆を挽く体験を楽しむ人が増えている。
「在宅時間が長くなり、コーヒーの飲用杯数は増えている。一人のお客様がスティック、インスタント、一杯抽出レギュラーなど、いろいろな製品を飲まれている」(味の素AGF)。

と報道されています。


実際、日本コーヒー協会「1週間当たりの場所別平均飲用杯数」を見ると、「家庭の中」が2020年には増加しています。

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このように、気軽に楽しめることから最も飲まれてきたインスタント・コーヒーですが、コロナ禍で手間をかけて楽しむ、という需要に押され2番手に後退したということが言えそうです。


最後に、2014年に話題となった、ネスレ日本がコーヒー関係の業界団体を脱退した、という件についてご紹介します。

簡単にいうと、ネスレ日本がコーヒー抽出成分と微粉砕したコーヒー豆とを混ぜ合わせて乾燥させた製品を「レギュラー」でも「インスタント」でもない、「レギュラーソリュブルコーヒー」とうたい販売を開始したものの、業界団体から、レギュラーと誤認を招くと指摘され、名称使用も認められなかったため、ネスレ日本が業界団体から脱退した、という話です。

当時のネスレ日本のプレスリリースとロイターの記事、東洋経済の記事のリンクを貼っておきますのでご興味がありましたらご覧ください。


→ネスレ日本はキットカットで見てもわかるマーケティングの上手い企業だ。業界団体を抜けてまでこだわった効果はあったのだろうか?あったとすればどのような効果だろうか?なかったとすればなぜだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございます。

皆様の頭の体操のネタになるところが1つでもあれば嬉しいです。

昨年7月からこのような投稿を続けてきてほぼ1年になります。以下のマガジンにまとめてありますので、お仕事を離れて頭の体操をしたいときに覗いて見てください。



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