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#131 「ビジネス頭の体操」ケーススタディ (11月23日〜27日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


11月23日(月) Jリーグが伸びている理由は?

1992年のこの日、Jリーグ初の公式戦・ナビスコカップ決勝が東京の国立競技場で行われたことに因んで、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が1993年に制定した「Jリーグの日」です。

Jリーグ。個人的には一時熱心に見ていましたが(アルシンドとかの時代です…)、最近はニュースや新聞で目にするぐらい。
最近では、ジャパネットが支援するチームが伸びているなんて話を耳にして、経営という観点でちょっと気になっていたところでした。

まず、Jリーグ自身が公表しているデータから。

営業収入も入場者数も順調に伸びています。

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一方で、55クラブ中、23クラブが単年度赤字となっていて、これ2018年度に比べ5クラブ増えています。

さらに調べていたら、なんとデロイトトーマツが2014年から作成しているレポートを見つけました。その名も「Jリーグマネジメントカップ」

クラブ経営を分析、評価してランキングを行う内容です。これが秀逸です。

例えば、「勝点1当たりチーム人件費」、「グッズも合わせた客単価」、「SNSフォロワー数」など、なるほど、という軸で評価しています。

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分析記事も興味深く、例えば、J1のクラブの分析では、以下のようなマッピングをした上で、

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バランス経営型(高営業利益率)は、平均してJMC(デロイトトーマツのランキング)で高水準の順位を維持しつつ、かつ、リーグでも好成績を残して、経営マネジメントとリーグ成績を両立できているクラスターだと言えます。一方で高スポンサー収入・高人件費型は、「チーム人件費」へ規模の大きな投資をしている一方で、リターン(例:リーグ成績、営業収益など)があまり得られていないため、JMC順位が低くなっている

などの分析を行なっています。

自業界とか他業界のこうした分析だと、知識等が邪魔をして分析手法そのものをきちんと見れなくなることも多いですが、Jリーグをもとに行われているので良い勉強になります。
これ、事業分析のテキストに使えそうだなぁ…

→感染症対策として入場料の大幅な落ち込みが見込まれるJリーグだが、その補完とファンの繋ぎ止めにはどのような策が考えられるか?


11月24日(火) 電力9社体制に至る経緯は?

1950年のこの日、「電気事業再編成令」が公布。電力会社9社が発足しました。

今では電力も自由化されていますが、それまでは地域ごとに9つ(今では琉球電力も合わせ10)の電力会社がその地域の電力供給を独占していました。

ここでは、意外と知らない(私だけ?)その経緯を簡単に振り返り、現在の電力自由化がどのような文脈の上にあるかを理解する一助としたいと思います。テキストばかりで見栄えは悪いことをご容赦ください。

<黎明期>
日本で最初の電灯供給事業は、1887年(明治20年)11月東京電燈によるものです。完全自由市場の下、電力事業は拡大し、1931年(昭和6年)頃には5大電力といわれた、東京電燈、東邦電力、大同電力、日本電力、宇治川電気がシェア約6割を占めるものの、事業者数は800ほどもあるという、小規模な事業者も多い状態でした。

<国家管理期>
この時期、満州事変などで戦時色が高くなったことなどから、1937年(昭和12年)12月に電力国策要綱を決定、翌1938年(昭和13年)電力管理法が成立し、1939年に日本発送電株式会社という特殊会社が設立され、発送電事業を一元的に行うこととなり、民間の発電所と送変電設備はこの会社に強制的に出資の形で提出させられました。
一方、配電事業については、発送電部門の国家管理に対応して1941年(昭和16年)国家総動員法に基づく命令として、配電統制令が施行され、翌年には400以上あった配電会社は9配電株式会社に統合されました。
これにより、日本発送電株式会社と9配電株式会社とを通じた電力の国家管理体制が完成しました。

<9電力体制期>
終戦とともに、財閥解体などを狙いとした過度経済力集中排除法が施行され、電力事業もその指定を受けました。
国内では、旧体制をなるべく温存した形を模索したものの、GHQからの圧力で、発送電と配電を一貫して行う9電力株式会社が誕生することになります。
これが、東京電力をはじめとした現在の地域電力会社です。

(出典:電気設備学会誌2015年12月「我が国の電気事業の変遷」

ここまで見てわかる通り、戦前は発電と配電は別会社となっていました。検討段階では、9つの発電会社と1つの配電会社という案もあったようですので、もしその形であれば、現在の送電を既存の電力会社に頼るという問題点や、地域を超えた電力の融通ももっと円滑だったかもしれません。

→地域独占であった電力、ガスの自由化がすすむ中、様々な販促が行われている。もし新電力の立場であればどのような戦略が考えられるか?また、守る側だとしたらどのような戦略が考えられるか?



11月25日(水) 日本のどの家庭にも百科事典があった!?

1931年(昭和6年)のこの日、平凡社が『大百科事典』を刊行開始しました。

今40代、50代の方にはご同意頂けると思うのですが、子供の頃、ほとんどの家に「百科事典」のセット、ありました。こんなの(平凡社HPより)。

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今回、あれだけ百科事典が各家庭に普及した裏に、いったい何があったのかを調べてみまたところ、面白い(?)事実がわかりました。

あの普及をもたらした販売チャネルは、なんと「訪問販売」だったのです。

高度成長期の日本。
物不足が解消され、三種の神器など消費が憧れになった時代。
将来は今より必ず良くなる。
だからちょっと背伸びして買っても大丈夫。という意識。
憧れの応接セットにステイタスを感じさせる重厚な背表紙の百科事典。
こうした時代の空気に、今も昔も変わらない、子供の教育熱という、感情と理性とにともにピッタリあてはまったのが百科事典だったのでしょう。

ただ、そのうちに行き過ぎ、1970年には強引な販売方法が問題となった「英語百科辞典ブリタニカ商法事件」が起こります。

告発状には以下のような記述がありました。

同社のセールスマンは英語百科事典やカセットテープの現物を見せないまま、これらを利用すれば幼児も英語を習得できるとか、定価46万円相当の商品を特別に22万円で売ると言ったが、これらは虚偽の説明であった

この事件は実は、72年にクーリングオフ(無条件解除権)を法制化するきっかけになった事件だったのです。

百科事典からなんとも意外な方向に話が展開しました。
私の父母はいったいいくらで購入したのか、今になって心配になってきました…

→今では考えられない訪問販売で本を売るビジネス。当時はなぜ成り立ったのか?収益構造はどのようなものだったのか?一人当たりどれくらい販売すれば採算ラインだったのだろう?成約率はどれくらいだったのだろう?



11月26日(木) 4年で2.5倍の売り上げの入浴剤は?

この日は日本浴用剤工業会が制定した「いい風呂の日」です。
「いい(11)ふろ(26)」の語呂合せになります。

入浴剤の市場、調べてみました。
(以下出典:「インテージ 知る Gallery」2020年9月17日公開記事

2016年から400億円で横ばいだったものが、2019年には6%成長の432億円と増えています。

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入浴剤、普段使わないので知らなかったのですが、タイプがいろいろ分かれています。

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タイプ別で伸びているのは、冷えや疲労、肩こり、腰痛などへの効能を謳っている「薬泉・保温」タイプで、2015年には19億円だったものが、2019年には49億円にまで増えています。

もっとも大きな伸びを見せているのが、「エンジョイ(玩具入り)」タイプです。2015年から2.5倍(8億円から20億円)になっています。

ちなみにこういう商品です(バンダイHPより)。

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インテージさんでは、未就学児・小学生の子供と同居しているかどうかも聞いており、バスタブの中で何をする?といアンケートを取っていて、半数近くが「遊ぶ」と答えています。

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この商品開発、組み合わせの妙、素晴らしい着眼点ですね。

ちなみに、全国の消費者からレシートを収集し集計したデータをもつ、マルチプルID-POS(脱線ですがこういうデータを提供している企業もあるんですね)によれば、購入されている入浴剤の銘柄でも、「エンジョイ(玩具入り)」入浴剤である、バンダイの「びっくら?たまご」が6位に入っています。

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(出典:日用品化粧品新聞「入浴剤市場の今を見る」

→入浴剤+おもちゃ がお風呂タイムを楽しくするということで大きなヒットになった。同じように自社商品を今まで組み合わせることを考えたこともないアイディアはないか?



11月27日(金) ノーベル賞は運用益が支えている?

1895年のこの日、スウェーデンの化学者ノーベルが、自らの発明したダイナマイトで得た富を人類に貢献した人に与えたいという遺言を書きました。それに因んで「ノーベル賞制定記念日」とされています。

ノーベル賞。毎年ニュースになりますが、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5つの各分野で人類・産業の発展に貢献した功績を残した人物に贈られます。

ダイナマイトの発明で財を成したノーベルさんが残した資産をもとに運営されていることは知られていても、毎年、各賞に1億円前後、合計で5億円もの賞金を出していて、そのほかにも運営費がかかるでしょうが、その費用って大丈夫なのかな?と疑問でした。

今回、調べてみました。

まず、先ほど「5つの」と書きましたが、経済科学賞は?と思われたかもしれません。私も知らなかったのですが、経済科学賞はスウェーデンの中央銀行が後から勝手に(?)設立したそうで、賞金はノーベル財団からではなく中央銀行が出しているそうです。ですからその分の負担はありません。

財団は、独立性を保つため、公的機関(国など)からの寄付は受け付けておらず、民間から寄付も限定的だそうです。

ですから、資産の運用益が支えになっているということです。

そのため、運用が不調であれば、賞金額も下がることがあり得ます。実際、2001年から2011年までは1,000万クローナだったものが、2012年から2016年までは800万クローナに下げられています(2017年から900万クローナ)。

1975年には財団の資産が公開され、物価の差を考えると、設立当初の約半分程度に減っていたそうです。

その後の資産運用により、2019年末時点で49億クローナ(約479億円)となっています。2008年時点から考えると年平均で6%以上の運用成績です。

資産構成は、株式47%、ヘッジファンド31%、債券13%、不動産9%。

想定通りは行かない世の中ですが、賞金が不足する、ということは現時点では心配いらなそうですね。

→ノーベル賞がこれだけ権威ある賞となった要因はなんだろう?


最後までお読みいただきありがとうございました。

何か一つでも頭の体操になったことがあれば嬉しいです。


8月から初めてはや13週目です。
調べていると面白くてあちこち飛んでしまって、時間がめちゃくちゃかかるのですが、勉強になってます。
過去分もよろしければぜひご覧ください。




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