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【イギリスひとり旅】Vol.9 グラスミア湖

Grasmere
ニ階建てバスからの風景、
湖のほとりで水浴びをする人と犬
小さな湖が光を受けて細やかに輝く
木々のしなり方まで美しく感じる

緑の小道と石造りの家々
平たくて黒っぽいスレートの石材が積まれた塀が道沿いにずっと続く。山々は植物の背丈が低くて、氷河が削ったような面持ちをしている。目を凝らしてよく見ると尾根沿いに羊の柵のようなものが長く連なっている。

小鳥が鳴く公園のベンチ、
思い思いにゆったり過ごす人たち
Sarah Nelsonの店で買ったジンジャーブレッドを食べる。生姜が強く効いていて思わず水を飲む。

川沿いのフットパスを歩いて湖に向かう。
川面の煌めきひとつが穏やかで美しい

道路に出たところで、聴いたことのない大きさの重低音がバリバリと響く。驚いて見上げると戦闘機が通り過ぎていく。あまりにも音が大きくて、ちょうどすれ違ったバックパックの女性と顔を見合わせ、信じられない!って風なリアクションをして笑い合う。

大自然の中に小さな街が穏やかにとけ込んでいる。
Words Worthという19世紀の詩人はこの街で自然を謳っていたらしい。
湖のほとりにあるWordsWorth記念館の前には、さっき公園で見かけた麦わら帽子の女の子が案内役をしてる。
インクで書かれた当時の詩集
文字の間に添えられた手書きの挿絵が
なんだか懐かしい気がした。

Grasmereの湖畔に座ってさざ波に耳を澄ます
向こう岸にはなだらかな丘の斜面が生き生きとした緑色をしてる。
水面が黄金に光るのを、ずっと見ていた


湖沿いに進むと、丘に続く石畳の脇道がふと目に入る。何か自分ではないような強い衝動に駆られて、考える前にその坂道へ歩を進めていた。

それからは夢中で歩いて、歩いて、高くなるにつれ植生も変わって、頂上だと思えば、まだまだ道が続いてて、歩いて、歩いて、
巨石がごろごろする高さになる頃には、頭もふらふらして息も上がって、それでも必死で登り続ける。
何でこんなに急ぐのか、
そのときはただ、頂上から見える景色がどんなものか見てみたくて、この丘の向こうに何があるのか知りたくて、ただただ夢中になって歩いていた。でも頂上まで登ってしまったらそれが終わってしまうんだという予感もどこかで感じていて

見上げていた斜面が一気に消えて、視界が四方にぶわっと開ける。

壮観だ、息を整えて達成感に浸る。
頂上だと思っていた場所からは、
尾根沿いに道がまだ続いていた。

ずっと向こうまで、続いている気がした。

ちょうど雲間から光が差して
白いカーテンのように
山々の間を揺らめいている

帰り道
大昔から変わらず流れ続けているような静かな川沿いをずっと歩いて、立派な岩石の路頭の側、誰もいないバス停でひとり、時刻表通りこないバスを待つ。

ウィンダミアの街へ戻った頃には日は沈んでいて、横目に映る夕空が綺麗だった。バーで飲んだレモン入りのコーラが身体の芯まで沁み渡る。

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