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薬剤師を取り巻く課題

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薬剤師を取り巻く課題や、仕事をする上で払拭できない違和感などから、これから先、薬剤師としての生き残る方法を探ります。
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記事一覧

大手調剤チェーンの事務員削減について〜事務員から薬剤師へのタスクシフト〜(2)

大手調剤チェーンの事務員削減について〜事務員から薬剤師へのタスクシフト〜(2)

続きです。

さて、前回は、将来が先細っている調剤大手チェーンの未来を考える上で、この後の薬剤師たちの動きがどうなるか?を中心に話をしたきたのですが、本来の本記事の目的は、大手調剤チェーンにおける「事務員の位置付けと今後」を検討するのが目的でした。
本回では、本題の事務員の状況について検討してみようと思います。

最近まで、いくつかの大手調剤チェーンは、処方入力の「作業」を自動化しつつあった。世間

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医薬行政と薬剤師との関係がなぜこうなったのか

医薬行政と薬剤師との関係がなぜこうなったのか

医薬行政への不満というものは、常にあるのだろうが、ここ数年、昔とは異なる現象が起きていると思う。

薬局のみに焦点を当てた個人的な意見としては、その原因はチェーン化と寡占化が進んだことによるものではないかと考える。

チェーンの寡占化が進む以前、というかその寡占化のプロセスの中では、地域の職能団体支部が中心となり、行政の出先機関のように、細かな対応や取り組みが行われていた。

要するに地域の支部が

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薬剤師につきまとう「やらされている感」とは

薬剤師につきまとう「やらされている感」とは

薬剤師の仕事に限らず、義務とか責任とか言われ、いやいややる仕事も多いと思う。
特に薬剤師の場合、単純な「作業」という括りのタスクだけでなく、加算や点数といった収益に直結する経済的な問題もある。
機械で出来る部分に対する「技術料」がずっと低下してきて、現在では対物業務に移行するという名目で、かかりつけ加算を始めとした、いわゆる対人加算に変化してきた。

対人業務に対する加算ということで、従来は作業量

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「薬剤師と研究マインド 現代の薬学教育における課題と展望」

「薬剤師と研究マインド 現代の薬学教育における課題と展望」

毎年たくさん入社してくる薬剤師たち、お利口で賢いのだけども、探究心というか、研究心、研究力が足りないとずっと思っていた。この記事も大袈裟なタイトルだが、色々調べるとやはり、薬剤師の研究マインドのようなものが今の教育では育たないらしい。
いくつかの根拠をもとに考察してみようと思う。

まずは、薬学教育、新コアカリキュラムについて述べられた、以下の引用を読んでほしい。

6年制薬学部の創設当時から関与

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自分の「相棒」はだれなのか?

自分の「相棒」はだれなのか?

自分の体は一つしかない。
頭脳も一つしかない。
でも仕事は増え続ける。

薬剤師の数は限られているし、お互いに自分の仕事を増やしたくないので、指示やおねがいにはビクビクしている。

一人薬剤師で数人の事務員がいる薬局、複数薬剤師に複数の事務員がいる薬局。色々な形態があると思う。薬剤師一人だけの薬局もある。

その中で、自分がいかに、「良い仕事」が出来るかは、自分の右腕になる人がそばにいるかどうかだ

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薬剤師を動かしてきたもの

薬剤師を動かしてきたもの

負のモチベーションで動くのが薬剤師
正のモチベーションで動くのが医師

ではないかと最近思い始めた。

薬剤師は、その仕事内容から、「○○しなければいけない、そのために●●する」という思考を形成しやすいのではないかとおもう。

○○できるように頑張る!とか、患者さんの命を救おう!という形の、いわゆる正のモチベーションが働きにくいのではないか。

どうしても、「●●しなければいけない」「●●してはい

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薬学部卒はコスパが良いな。

皆さま毎日のお勤め、
お疲れ様です。

今日、小学2年生のうちの女児が帰ってきて、「デシリットルの意味が分からん」と泣いていた。
母親が教えても納得が出来ないらしい。
最近、そんなような事が増えてきた。
 
理科とか算数ならわしが教えられるから、パパが教えてあげるね、と先生ぶって教えてあげた。

教職課程は取らなかったけども、昔は薬学部を出れば比較的簡単に教員免許も取得できた。

今はどうだろう。

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薬剤師の価値は下がるのか。

薬剤師の価値は下がるのか。

薬剤師から薬を切り離すことで、薬を単なるモノとすることができる。モノとすることで、物流など、調剤にかかわる産業の裾野を広げる事ができる。
産業の強みを失った日本が、少しでも経済を活性化させるために調剤をターゲットにするのは分からないでもない。

事実、コロナ禍でも発熱外来での患者への直接の薬の手渡には全く評価をせず、配達や配送など、経費をかけることを評価した。

これは、薬剤師の職能よりも、薬を取

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踊らされる薬剤師(Twitterからの転載)

「薬剤師をカッコよく」とか、「カッコいい薬剤師」とか、そう言った薬剤師を煽るようなイベントや動画を好んで企む経営者らの目線では、薬剤師の価値というのは仕事に打ち込む、仕事、会社にコミットする姿勢を求めているのだよな。 決して「学問」や「学位」などは求めない。薬剤師に下手に知識を付けられても経営者は彼らを使いにくくなるだけだからな。 忙しい業務の中、学業と仕事を両立して医療を良くするという薬剤師の努

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薬局実習

薬局実習

(noteは無理やり「タイトル」を考える必要があるから、苦手というか気持ちが悪いよな。X(Twitter)なら、思ったことを素直に書くだけだったのだけども、それに「タイトル」をつけると不自然というか「作り物」感が出てきてなんだか気持ち悪いのよな。)

薬局実習の話だけども、大学の先生から「手厚いご指導」と言われて感謝されたのだよな。もちろん形式的な言葉であるとは思うが、いままでそのような表現は受け

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これからの薬剤師は「副業」を考えるべきなのか。

これからの薬剤師は「副業」を考えるべきなのか。

まずは、新卒薬剤師の給料の多さなどでの比較は無しに、
一般論で「副業」を考えてみよう。

「副業保有が労働者の就業姿勢に与える影響(門 美月,2022)」によると、社会的には、安定していると思われる正規雇用者が、副業で成功するには、まず、時間的な余裕があること、そして十分な賃金を得ていることが必要になると思われる。そうでなければ、副業はメリットもないと言われている。

(薬剤師とは限定せず)年収8

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福井県の薬剤師不足についての考察

福井県の薬剤師不足についての考察

地方のニュースになってますね。
分業が進んでいないから薬局が少なく、薬剤師も少ないという解釈だが、一時期に薬局数が大きく減った時期があるのだよな。

以下は私見です。

政府の公開しているデータを見ると、当時何が起こったのか分からないのだが、中小のチェーン調剤が潰されたのではないかと思われるデータが確認された。それについては、わたしの修士論文の先行調査でも考察していた。

Twitterで情報を求

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薬剤師&心理士であることの意味

薬剤師&心理士であることの意味

たぶん、心理学のテキストだけで40冊くらい勉強したかな。自分は薬剤師で薬学部を出ているので、通信制大学で30単位?くらい取れば認定心理士の認定を受けることが出来た。ただ、座学だけじゃなくて心理学実験というのがかなりあって、体を張った2日がかりの実習を何度もやり、結果を統計解析をフルに活用したレポートもいくつも提出するという、科学的な実習であった。

正直言って、これはかなり大変だった。
各心理学の

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ドラッグストアの薬剤師の仕事は「質より量」であるのか?

ドラッグストアの薬剤師の仕事は「質より量」であるのか?

給料の高さや、「今後の調剤薬局への漠然とした不安」などから、今人気となっている就職先であるドラッグストア調剤。そこではどんな薬剤師が求められているのだろう。本当に「大変」なのだろうか。数値を用いて考察したい。

ドラッグストアの薬剤師(本稿では主に調剤に配属された薬剤師を意味する)の仕事の量と給料とのバランスは、はたしてどうなのだろうか。
国内でこれらを研究した論文はないが、海外ではコミュニティー

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