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読書記録 『イノセント・デイズ』 早見和真
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【読書記録 『イノセント・デイズ』 早見和真】
《あらすじ》
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。
《感想》
「結局死ぬんかいっ!!」
僕の怒りは爆発した。
読み進めるにつれ、
気づき始める。
自分の中に「怒り」の感情が芽生えていること。
誰に対してや?
何に対してや?
主要な登場人物全員に、
その「怒り」をぶつけてみる。
その全てが正解のようでもあるし、
不正解のようでもある。
「結局死ぬんかいっ!!」
僕の怒りが爆発した。
主人公 田中幸乃に対して。
結局、君の受け止め方やんけ。
人に必要とされない人生は、君が作り上げたものでもあるやろがいっ!
誰かの人生に向かって飛び込んでいく勇気を、
飛び込み続ける勇気を、
飛び込みはじめ続ける勇気を、
最後まで君が持てんかっただけやろがいっ!
ひとしきり憤ったのち、
はたと気づく。
この「怒りの向け方」もしっくりこないことに。
なんとなくモヤッとしながら読み進める。
『心の傷と、解放感。その二つとともに私の中に取り残されたのは、やはり一貫して感じていた怒りだった。 でも、その感情の正体がどうしてもつかめない。私はいったい何に、誰に対してこんなに憤っているのだろう。真犯人か、警察か、裁判のシステムか、死刑制度そのものか、結局救うことのできなかった彼女の友人たちに対してか、それとも幸乃自身に対してか。 すべて当てはまる気がする一方で、すべて的外れだという思いも拭えない。ただ一つたしかなのは、どの方向に怒りの刃を投げつけてみても、結局はブーメランのように自分のもとに戻ってくるということだ。』
このくだりが答えのようだ。
同作家作品の
『スリーピングブッダ』とは、
また違うテイストの物語。
夢中で読んだ。