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『23分間の奇跡』読書感想文

こんばんは、水瀬綾乃です。
昨日呟いていた、『23分間の奇跡』の読書感想文ですが、一晩思考を寝かせたからといって、うまくまとまったわけでもないのですが、勢いで書いていこうと思います。

文庫本フェアのうちの一冊でなければ、この作品と出合うこともなかったかもしれません。

この作品は集英社文庫のナツイチ2023に入っていますが、フェア実施店舗で購入すれば、リストの中の本一冊にひとつ、「よまにゃ画面クリーナー」が貰えます。栞としても使える便利なプレゼントです。

さて、前情報もなく選んだ作品でしたが、帯には
教育とは、国家とは、自由とは何か?
小学校の新任女性教師が巻き起こす23分間のドラマ。
と、あります。

作者はジェームズ・クラベルで、青島幸男訳です。
23分間という短時間のある教室の様子を記してあるだけなので、本文は少しの時間で読めます。

巻末からは英語原文も、読めるようになっているので、英語の勉強にもいいなと思い、それもこの作品を買う理由のひとつになりました。

でも、短い読破時間とは裏腹に、内容は誰しも深く考えさせられてしまうだろうものなのです。

どうしても内容に触れる感想になるので未読の方で内容を知りたくない方は、以後スルーして下さい。

冒頭は不穏な空気の中、始まります。

ある教室で担任の先生とクラスの子どもたちが不安そうに新しい担任の先生が来るのを待っています。

そして、新しい担任の先生は、教室に入ってくると口調は優しいけれど今までの担任の先生に別室へ行くように促します。
今までの担任の先生は、泣きながら子どもたちに別れを告げ、教室から出ていくのです。

子どもたちにとってその出来事は、大きな動揺の波となって教室中に広がりますが、新任の先生は、にこやかに子どもたちに話しかけ、歌を歌い、少しずつ子どもたちの心をほぐしていき、諭していくのですが…。

ひと通り読み終わって、何てそら恐ろしい話なんだろうと思いました。

教師という点では、この新任の先生はとても優秀な人です。
子どもたちの不安な気持ちを払拭し、希望に満ちた笑顔にできたのですから…。

でも、それって所謂マインドコントロールされたということであり、それは、いともたやすく23分間という短い時間で成し遂げられたのです。

教育というのは、とても大切なことです。
でも、それは正しく子どもたちを導いていくという前提になされるべきことです。
そこにはいかなる場合でも善ではないことがあってはならないと思います。

無垢な子どもたちが、のびのびと知識を高め、立派な大人になっていくのを、いち早く大人になっている私たちが、それぞれできる手助けをしながら、社会全体で彼らを見守っていかなければなりません。

そうやって見守られて大人になった子どもたちが、今度は次世代を生きる子どもたちを同じように見守っていけるようになることで、愛と信頼に溢れた社会を築いていけるのではないでしょうか?

背筋が寒くなるような怖さから始まった読後感は、時間がたつと、そんな思考に着地しました。




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