3行日記（打ち水、スパーン、不在）
八月三十一日（木）、晴れ。
最近、雲が多くなってきた。翳るからか、夕方になると前よりもやや涼しく感じる。
夕方、家路につく。路地でおばさんがホースをのばし、乾いたアスファルトに打ち水をしている。その続きで、軒先の鉢に水をやろうとしたのだが、手元のレバーを引くと、分散して降るシャワーではなく、鉢植えの砂がへこんでしまう勢いで、水の束をどぼどぼと注いでしまい、あらやあだ、と慌ててシャワーに切り換えていた。特急をやりすごして鈍行で帰った。
改札をでたところの交差点で、女性がつまづいて傾いた体を立てなおそうと勢いよく足をつき、スパーン！ と卓球のスマッシュを打ったときみたいな音が響いた。そのようすを何の感情もなく視界にいれて、私も同じ交差点にさしかかると、急に足元がぐらついた。スパーン！私の靴の裏からもスマッシュの音が鳴った。さすが元卓球部である。
夜、チキンライス、巨峰、チョコレートケーキ。チャックの散歩、神社で湧き水ごくごく、大通りを渡って東へ。定番コースの逆回転でファミマのところを折れる。神社に戻って帰宅。そういえば、一週間以上になると思うが、猫おじさんの姿を見ていない。餌をもらえない野良猫たちは腹を空かせていないだろうか。そんな心配をよそに、チャックはおやつを味わうことなく一瞬でたいらげた。
受け身でいい。日常に流れてくるものをひろう前向きな受け身。借りてきたレンズではなく、自前のカメラで覗いた日常を写すこと。きょうは満月。めちゃめちゃ月が明るかった。