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【映画メモ】マレーナ【#49】
解説は映画.comさんより
1940年、第二次大戦下のイタリア。12歳の少年レナートは、村で一番美しい女マレーナに一目惚れする。結婚したばかりの夫を徴兵された彼女は、海岸沿いの家に1人で住んでいた。戦地にいる夫を想い、目の見えぬ父親の世話をする彼女を影のように追うレナート。やがて、敗戦とともにマレーナの夫の戦死が伝えられ、彼女にとっての悲劇が幕を開ける。長ズボンをはくようになったレナートは、そのすべてを胸張り裂ける想いで見つめ続けていた。
確かに、第二次世界大戦のナチスや日本、アメリカのことはよく聞くけど、イタリアって知らなかったよなと思いながら。
モニカ・ベルッチがめちゃくちゃ美人で良い女です。そりゃ、これで未亡人になったら村中の男から言い寄られるよね。そして、思春期の少年たちも夢中になるよね。さらに、村中の女性から妬まれるよね。という、分かりやすい構図です。
主人公の少年レナートも良いのですが、父親がさらに良い。思春期の少年を持つ父親は、自分も通ってきた道だから、馬鹿なことをしでかした時は怒り、悶々としている時は風俗に連れて行って女を経験させるという、前半では口うるさいダメ親父的な描かれ方が、後半に進むに従ってかなりかっこいいイケオジになります。
女性だからということではなく、男も同じですが、同性の妬みや嫉妬の見苦しさや、とにかくヤリたい男の浅ましさが強調されています。やむにやまれず娼婦に身を落としていくマレーナの切なさは、途中忘れてしまいますが戦争映画の理不尽です。
戦争が終わった時に、女性たちの娼婦狩りが始まり、娼館から引きづり出されて髪を坊主に切られてリンチされて血だらけになるのに、あんなに言い寄っていた男たちは誰も助けません。この辺りは人間の見苦しさがはっきりと描かれています。
そして、死んだと思われていた旦那が帰ってきて、街を去ったマレーナを探しに行き一緒に戻ってきます。そして、マレーナが朝市に買い物に行った時、昔の美貌が衰えて、肌もカサカサに、目尻にはシワができているのを見た女性たちが、一斉にあんたも苦労したわねというような雰囲気を出して彼女を受け入れます。ここで、同性に対する女性の嫉妬の怖さを鳥肌が立つほど感じました。恐ろしい。
一方で、全編を通して、少年レナートの思春期特有の純粋な年上の人妻への恋心が、マレーナの境遇の悲惨さを埋め合わせるというか、コメディ的な部分を担っているというか、良いスパイスになっています。少年の成長がほろ苦くも微笑ましいです。
おわり
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