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【読書メモ】ゼロからの『資本論』(斎藤幸平)【#97】
人新生の「資本論」を読んでからゆるゆるとフォローしていた斎藤幸平さんの本です。元ネタはNHKの100分de名著から加筆したもののようです。資本論に関する解説書はここ10年くらいで何冊か読んでいますが、やっぱり難しく、なかなか理解が追い付かないので、更に初心者用、更に初心者用と探して辿り着いた1冊です。
もちろん噛み砕いていあるので、解説というよりは、ふわっとした入門書レベルなのですが、とりあえずはこれで十分です。この本の紹介でさえ、ちゃんと書けるのかと問われると全然書けません。
目次を見てみますと
第1章 「商品」に振り回される私たち
第2章 なぜ過労死はなくならないのか
第3章 イノベーションが「クソどうでもいい仕事」を生む
第4章 緑の資本主義というおとぎ話
第5章 グッバイ・レーニン!
第6章 コミュニズムが不可能だなんて誰が言った?
1章2章辺りはまさに資本論を噛み砕いた解説ですが、3章4章辺りから齋藤さんの考え方が多くなってきて、5章はちょっと違うのですが、6章ではMEGAによる晩年のマルクスの考え方がどこに向かっていたかの考察と続きます。
僕が前から不思議に思っていたというか、ソ連や中国と資本論に書いてることは全然違うのに、なぜマルクスと言えば社会主義、共産主義になるのか?という疑問に、端的に分かりやすく答えてくれているところが第5章です。
20世紀に社会主義を掲げた国の実態は、労働者のための社会主義とは呼べない単なる独裁体制にすぎなかった。それは、資本主義の代わりに党と官僚が経済を牛耳る「国家資本主義」だったのです。
これを読むと、日本もほぼソ連や中国と同じでは?と感じました。単に独裁体制ではないだけで、国家資本主義には変わりないように思います。
そして、少し遡りますが160ページでは、中国では「マルクス主義研究会」が労働者の待遇改善を表明したため、サークルは解散させられ、失踪した(粛清された?)学生もいるという事例が紹介されています。今の中国では(ロシアでも同じだと思いますが)、マルクス主義の理論を主張することは国家に反逆しているという行為であるという皮肉な状態のようです。
周期的に話題にはなるものの、まだ「資本論」がいまいち分からないという人にはお勧めの1冊です。
おわり
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