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【読書メモ】堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法(幻冬舎新書 690)【#93】

ショック・ドクトリンという言葉は知りませんでしたが、確かに、東日本大震災の後に放射性物質の扱いが雑になって規制が緩んだり、知らない間に復興税のような税金が増えていたり、食品の表示規制がおかしくなって日本のどこで取れたものかすらも判別できなくなっていて、違和感を感じていました。何かトラブルがあるたびに、為政者の都合の良いように規制が緩み、国民が不便になるような規制が強くなり、世界が変な方向へ向かっているな~と思っていましたが、その答えを教えてもらったのがこの本です。

そもそも、NHKの「100分で名著」の中でナオミ・クラインの「ショック・ドクトリンーー惨事便乗型資本主義の正体を暴く」が紹介されていて、その解説に堤未果さんが呼ばれていました。ナオミ・クラインさんの本は、上下巻だし、結構高いし、う~んっと思ったのですが、堤未果さんが同じような本を書いているということで、入門書的にそちらを読みました。しかも、買う予定はなかったのですが、出張で羽田空港の本屋に立ち寄った際に見つけて、お、良いところで見つけたと思って買ったら、飛行機の中でも、出張先のホテルでもずっと読み続けて、あっという間に読了しました。

目次を紹介するだけで読みたくなると思います。

序章 9.11と3.11 ー私のショック・ドクトリン
1 さらに邪悪な者たち
2 ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』との出会い
3 猛スピードでグローバル化するショック・ドクトリン
第1章 マイナンバーという国民監視テク
1 コロナ禍が大チャンスだった
2 マイナ保健証はここが危ない
3 日本人が知らない世界のマイナンバー事情
4 個人情報がすべて紐づけられた先に
5 アナログからデジタルへ ー危険もいっぱい
6 便利で快適なディストピアへようこそ
7 政府のやりたい放題を止める方法
第2章 命につけられる値札 ーコロナショック・ドクトリン
1 いつかきた道、感染症ショック・ドクトリン
2 健康をお金に換える錬金術師たち
3 ショックから覚醒し始めた人々
4 緊急時に拡大された権力は、その後もずっと残る
5 医療から「人間」が奪われる
第3章 脱炭素ユートピアの先にあるディストピア
1 地球を救う街は都市収容所
2 環境にやさしい生き方が強制される
3 災害と省エネはこう結びつく
4 電気自動車も十分CO2を排出する
5 市民が地方で、命を守る

目次

特に、マイナンバーカードが最初は便利だからとか、任意でと言っていたのが、途中から保険証と一緒になり、運転免許とも統合すると言い出し、半ば強制的に取得させようとしていく経緯を見ていて、世間の人は気持ち悪さを感じないのかな?と違和感を感じていました。それを取り仕切る河野大臣を持ち上げるマスコミにも違和感しかありませんでした。

いつも、そういった制度や情報からは距離を置きながら、ポイントがどうとか、割引がどうとかいうことに飛びつかずに、多少損してもいいから、ちゃんと納得できてから、ちゃんと裏付けを調べてからという風に生活しているので、余計に違和感を感じやすいのかもしれません。 

そうやって思い返すと身近なところでもショック・ドクトリンが起きていました。10年ほど前に私が勤める会社に乗っ取り騒動がありました。外資系の会社が経営権を奪おうとしているということでした。前社長と現社長の攻防があり、現社長が乗り切ったのですが、その際に役員の規定や組織規程について、コーポレートガバナンスを整えるため、安心して会社が存続できるようにという甘い言葉で、どんどん色々な細工をしました。その結果、社外取締役などを現社長の知り合いだけで固めて、一度社長になってしまったらどんな不祥事があっても社長が辞める必要は無くなり、逆にを辞めさせることも出来なくなりました。行政指導が入り、新聞に載るような不祥事もありましたが、役員は一人も交代していません。少し前のビックモーターのようです。また、役員になれるのは部長を経験した人のみと規約が改正されて、同時に、新しく部長になる人がいなくなりました。これで、突然の不幸のような役員の退任があっても、新しい役員が生まれることは無くなっています。もう10年も新しい部長は生まれていませんし、最後の部長が定年退職になって1年以上、完全に部長不在、どこの部署にも副部長しかいない歪な組織になっています。これが正にショック・ドクトリンだなあと観察しています。

ショッキングな内容が続きますが、最後に希望も書かれています。

この本に出てくる、同じように違和感を抱いている国内外の人々が、辛抱強く政府や学校、役所などに声を届けたり、情報公開請求や裁判、市区町村レベルの条例などで、自分たちの最終決定権を一つひとつ取り戻している姿を見てください。
一番大事なことは、どちらが正しいか間違っているかという善悪でなく、「おかしいな」と感じる自分の直感をキャッチする感性を持ち続け、最後まで「選択肢」を失わないことなのです。

p280

違和感を感じるって大事だと思います。

おわり



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クロネコ@太極拳から学ぶ会
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