【読書メモ】堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法(幻冬舎新書 690)【#93】
ショック・ドクトリンという言葉は知りませんでしたが、確かに、東日本大震災の後に放射性物質の扱いが雑になって規制が緩んだり、知らない間に復興税のような税金が増えていたり、食品の表示規制がおかしくなって日本のどこで取れたものかすらも判別できなくなっていて、違和感を感じていました。何かトラブルがあるたびに、為政者の都合の良いように規制が緩み、国民が不便になるような規制が強くなり、世界が変な方向へ向かっているな~と思っていましたが、その答えを教えてもらったのがこの本です。
そもそも、NHKの「100分で名著」の中でナオミ・クラインの「ショック・ドクトリンーー惨事便乗型資本主義の正体を暴く」が紹介されていて、その解説に堤未果さんが呼ばれていました。ナオミ・クラインさんの本は、上下巻だし、結構高いし、う~んっと思ったのですが、堤未果さんが同じような本を書いているということで、入門書的にそちらを読みました。しかも、買う予定はなかったのですが、出張で羽田空港の本屋に立ち寄った際に見つけて、お、良いところで見つけたと思って買ったら、飛行機の中でも、出張先のホテルでもずっと読み続けて、あっという間に読了しました。
目次を紹介するだけで読みたくなると思います。
特に、マイナンバーカードが最初は便利だからとか、任意でと言っていたのが、途中から保険証と一緒になり、運転免許とも統合すると言い出し、半ば強制的に取得させようとしていく経緯を見ていて、世間の人は気持ち悪さを感じないのかな?と違和感を感じていました。それを取り仕切る河野大臣を持ち上げるマスコミにも違和感しかありませんでした。
いつも、そういった制度や情報からは距離を置きながら、ポイントがどうとか、割引がどうとかいうことに飛びつかずに、多少損してもいいから、ちゃんと納得できてから、ちゃんと裏付けを調べてからという風に生活しているので、余計に違和感を感じやすいのかもしれません。
そうやって思い返すと身近なところでもショック・ドクトリンが起きていました。10年ほど前に私が勤める会社に乗っ取り騒動がありました。外資系の会社が経営権を奪おうとしているということでした。前社長と現社長の攻防があり、現社長が乗り切ったのですが、その際に役員の規定や組織規程について、コーポレートガバナンスを整えるため、安心して会社が存続できるようにという甘い言葉で、どんどん色々な細工をしました。その結果、社外取締役などを現社長の知り合いだけで固めて、一度社長になってしまったらどんな不祥事があっても社長が辞める必要は無くなり、逆にを辞めさせることも出来なくなりました。行政指導が入り、新聞に載るような不祥事もありましたが、役員は一人も交代していません。少し前のビックモーターのようです。また、役員になれるのは部長を経験した人のみと規約が改正されて、同時に、新しく部長になる人がいなくなりました。これで、突然の不幸のような役員の退任があっても、新しい役員が生まれることは無くなっています。もう10年も新しい部長は生まれていませんし、最後の部長が定年退職になって1年以上、完全に部長不在、どこの部署にも副部長しかいない歪な組織になっています。これが正にショック・ドクトリンだなあと観察しています。
ショッキングな内容が続きますが、最後に希望も書かれています。
違和感を感じるって大事だと思います。
おわり
この記事が参加している募集
頂いたサポートは、とてもモチベーションになっています。新しい記事を作る資料費として、感謝しながら有意義に使わせていただきます。 気功・太極拳を中心とした健康と、読んだ本について書いています。どちらも楽しんでいただけると嬉しいです。 サポートしてくれたあなたに幸せが訪れますように!