見出し画像

中学受験ガチ勢講師が家庭学習のみ受験の本音を語る①(受験科目編)

「中学受験を家庭学習のみで可能なのか」→「可能やで」

最近、なるべく費用をかけずに中学受験をしたいという面談依頼を複数件いただきましたが、塾・家庭教師・家庭学習のメリット・デメリットを自分のバイアスなしで整理してそのままご説明しました。(今後、NoteやYoutubeでここらへんの話もしたいと思います)こういうことにご費用をいただくのも申し訳ないので、Noteで私の考えを書いていこうと思います。

さて、結論から話しますと、特に首都圏で言えば様々な学校があります。例えば「学校のテストで裏表がちゃんと出来ていれば合格できる学校」もたくさんあります。そして、総じて公立中より面倒見がよく、さらには高校から入ろうと思うと通信簿がほぼオール5以上必要になる「伸びしろが大きい」(お買い得)な学校もたくさんあります。

こういう学校を適切に選択すれば、無理しない」かつ「最大限良い学校に通う」家庭学習での中学受験はまったくもって可能です。

さて、結論が出てしまいました。

しかして人は欲深い

しかし、子供はそれでハッピーなのに親はアンハッピーに思うのです。なぜなら人間というのは「プラスになるお金には無頓着なのに、マイナスになるお金には頓着する」という心理的バイアスがかかるからです。

例えば、家庭学習のみで行けるA中学の学費は年間80万円、有名なB中学は同じ年間80万円。同じ金額をかけるならB中学がいいな…。でもB中学は本格的な中学受験の勉強をしなければいけないから費用がかかるなぁ…。でもB中学…ええなぁという思考です。

そうして陥るのが「抜け道を探す」という方法です。

適性検査型・単科受験の罠

よくご相談としていただくのが「適性検査型」あるいは「単科受験」ならばそれほどやらなくていいのではないかというご相談です。しかしながらよくよく考えればこうした受験は相当危険な受験方法であることがわかります。

1つに、適性検査型や単科型は個人の資質が大きく問われます。普通に受験する時はある程度他の科目でカバーができるのですが、記述式あるいは単科は普通に受験するよりも難問が出題されます(具体的には偏差値+15程度上の学校のテストが出題されます)これは当の私立中学校の校長も「適性検査型や単科型のほうが圧倒的に能力が優秀な生徒が集まる」とおっしゃっています。つまり、適性検査型・単科型においてはもともと記述や思考の才能が溢れている。英語単科型は、まぁせめて英検2級レベル、算数単科型は立体図形やパズル系、関数系に対する理解度が並外れていて具体的には数検・算数活用力検定で上位を取れる子が学校はほしいわけです。なので「少々学校や中学受験の勉強ができる」程度のレベルでは、どこにもひっかからずに終わることが大半ということです。つまりは「そもそもその学習をちょっとすれば余裕で受かるでしょうね」と言う子しか受からないということです。

期待値を考えればカンタンな理屈

著者がお金を賭けないアミューズメントポーカーが好きでして(^o^;)、ポーカーで説明しましょう。

2科目あるいは4科目受験は、ポーカーならば「幅広い役が狙える」ということです。例えば♥の手札がたくさん来たから、フラッシュ(同じマークを5枚集める)を狙おう。2の手札のカードが2枚来たからツーカード、スリーカードを狙おうというような、幅広い待ちをすることができます。ポーカーでは「まぁ勝てるかもしれない?」という勝負できる手役はおおよそ40%で来ます。

中学受験では、学習をすすめるごとに、同じ科目でも「この分野は得意・不得意」というものが出てきます。つまり得意な問題が比較的多く出る学校を選択したり、あるいは不得意な学校を外したり、あるいは伸ばしたりすることで可能性を広げられます。

これが単科受験となると、1つの手役しか狙えないことになります。例えばポーカーの手役で「まぁ勝てるかもしれない最低限で最も確率が高い」のがツーペアという役ですが23%程度です。つまりこの時点で通常の半分程度しか可能性の中で戦うということになります。もちろん、有名中受験をもっと難しい手役と考えれば5%以下です。受けられる学校が激減する、科目で逃げられない受験ほど恐ろしいものはありません。

ポーカーと中学受験

ここまでポーカーを例にあげてきましたが、受験とは関係ないでしょ?と思うかもしれません。確かにポーカーは引ける手札を選べませんが、受験は学習によってその確率を変動させることは十分に可能です。

しかし難関校ほど中学受験のあらゆる分野から出題してくる。しかも適性検査型や単科型はそもそも「得意な子が受験する」ことを前提にすれば、多少得意なくらいは優位とはなりえません。結局同じくらいのレベルの中で「得意な問題に当たる確率」と考えれば、そうそう的はずれでもないのです。さらに、中学受験の有名中では点差をつけるために「解けないであろう問題」(ポーカーならば引きたいカードは出づらい)を重点的に出すので、むしろさらに難しいといっても過言ではありません。

受かった後も考えれば…

さらには入学後には、他科目もしっかりと学習してきた子と一緒に勉強しなければなりません。1科目ということに限れば、相当な実力がなければ、世の中は広いですから鬼のような才能を持つお子さんもいます。そういう子と比較した時に拠り所の科目で負けたとすれば逃げ場がなくなり、不登校の原因となるのです(実際、スポーツ推薦などではよく起こることです)

結論

以上、今回は家庭学習で陥りがちな「抜け道の罠」についてお話してきました。確かに私も若い頃は、適性検査の「特別枠」(一芸)狙い、あるいは九段中の千代田区枠狙いをオススメしてきました。ただ、結果言えることは「考えることはみんな同じ」で「やればそもそも受かる子しか受からない」「上には上がいる世界は厳しい」ということなのです。どうぞこの点は忘れずに適切な中学受験にお取り組みください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?