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文章の描写力はどうやって身につける?描写力を高めるための3つの視点

出来事を具体的な体験として書いたり、感情を自分の言葉で表現したりするには「描写力」が欠かせません。

とはいえ「描写力ってどうやって身につけるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

第9回目は「描写力を高めるための3つの視点」について書いていきます。

3つの視点とは、

  • 望遠レンズの視点

  • スローモーションの視点

  • 虫めがねの視点

です。

この3つの視点を身につけると目の前の光景や様子、あるいはあなた自身の感情や感覚を魅力的な文章として表現できるようになりますよ😆👍

望遠レンズの視点

望遠レンズの視点とはカメラの望遠レンズのこと。

スマホのカメラにも風景全体を撮りたいときの広角レンズと、遠くの風景を撮りたいときの望遠レンズがありますよね。

遠くの風景を撮るということは風景全体から、その一部を切り取って撮るということです。

つまり多くの出来事の中から、

最も印象に残ったこと
最も伝えたいこと

を探すための視点が望遠レンズの視点です。

たとえば、日記に「今日の出来事」を書くとします。

【いつもの視点で書くと】
目覚まし時計をセットし忘れて30分寝過ごしてしまった。なんとか出社時間には間に合ったけれど、遅刻するかもと焦った。午前中はいつもどおりの業務。お昼ご飯は近くの定食屋さんで済ませる。午後からは打ち合わせがあるので会社を15時に出て、取引先へ向かう。今日は直帰でいいので、帰りに人気のラーメンで晩ご飯を済ませた。

このように1日の出来事をすべて書こうとすると一つひとつの出来事の印象が薄れてしまいます。

また、印象が薄れてしまうだけでなく、ただ行動を記録しただけの工程表のような日記になり、味気なさを感じるのではないでしょうか。

【望遠レンズの視点で書くと】
今日は取引先から直帰だった。会社に戻らなくていいので時間に余裕ができた。取引先があるのは大阪市の福島区。福島区といえばラーメンの激戦区。これは食べて帰らずにはいられない。お腹の気分は「こってり」。それならと鶏煮込みそばが人気の「ラーメン人生JET」へ向かった。

1日の出来事をすべて書こうとせず、1番印象に残った出来事だけを切り取ると、ひとつのテーマについて書くことができます。

このように望遠レンズの視点は「いらないもの」を削って「書きたいこと」を見つけるための視点です。

スローモーションの視点

プロのスポーツ選手は集中力が極限まで高まったとき、相手の動きがゆっくりに見えたり、ボールが止まって見えたりすると言いますよね。

文章においてもスローモーションに感じられるように体の動きや気持ちの変化を一つひとつ丁寧に描写します。

スローモーションの視点では、たった数秒の出来事でさえ時間を引き伸ばしたかのように書けるので、読みごたえのある文章になります。

【いつもの視点で書くと】
ラーメン人生JETについた。今日は行列はないようだ。券売機でカレーラーメンと麺大盛り、白ご飯を購入した。

この文章だと、ただ事実を羅列しただけです。では、スローモーションの視点でとらえるとどうでしょうか。

【スローモーションの視点で書くと】 
今、券売機の前で葛藤をしている。定番の鶏煮込みそばにするか、以前売り切れで食べられなかったカレーラーメンにするか。後ろにはすでに次のお客さんが券売機が空くのを待っている。迷っている時間はもうない。まだ食べたことのない未知の味。その好奇心が僕にカレーラーメンのボタンを押させた。

普段なら気に留めない動作も、スローモーションの視点で見ると心の揺れ動きに注目することができます。

スローモーションの視点が役に立つのは、

映画のワンシーンを語るとき
スポーツの名場面を切り取るとき
心の葛藤や気持ちの変化を書くとき

自分の外側でも内側でも「動き」のあることを文章にするときに持っておきたい視点です。

虫めがねの視点

虫めがねの視点は人や物、風景などの細部にまで目を凝らして色や形、質感などを表現します。

スローモーションの視点との違いは「動きの有無」です。

たとえば、打ち上げ花火は打ち上げから花火が開く瞬間まで動きがあるのでスローモーションの視点でとらえて描写すると臨場感が生まれます。

一方で打ち上げ花火会場は人々の会話、屋台の賑わい、会場の広さなどを虫めがねの視点で詳細に描写するとリアリティが生まれます。

【いつもの視点で書くと】
カレーラーメンはおいしかった。最後は白ご飯を入れてカレーライスにできるのもいい。ごちそうさまでした。

【虫めがねの視点で書くと】
カレーラーメンはおいしかった。スパイスの辛さだけでなく鶏の旨味が溶け出した濃厚なスープ。そして、スープに負けないよう小麦の風味豊かなモチモチの中太麺。締めは残ったスープに白ご飯を入れてカレーライスに。お米ひと粒ひと粒がスープを吸って絶品のカレーライスになった。心もお腹も満たされて、いつもより大きめのごちそうさまを伝えて、店を出た。

虫めがねの視点を持つと、出来事のどこに焦点を当てるかで「その人なりの視点」で文章を書けるようになります。

例文では「ラーメンを食べる様子」に焦点を当てましたが、もっと細かなところに注目すると麺だけ、スープだけで文章が書けます。

虫めがねの視点は、五感を使って文章を書くときに相性のいい視点です。

日常のさまざまなシーンを「あなたが見たまんま」に表現することができます。

3つの視点が書く楽しさを後押しする

3つの視点を意識すると、友だちの服の色、窓の外に見える景色、手に持っているコーヒーの味や香りなどに自然と注目するようになりますよ。

そして「今、自分にはどんなふうに世界が見えているのか」を言葉にするのは、子どものころのお絵描きに似た楽しさがあります。

あなたが書く文章に正解も不正解もありません。唯一あるとしたら「書いて楽しいかどうか」です。

この3つの視点が、あなたの書く楽しさを後押ししてくれますように✨

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