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読み終えたら人にやさしくしたくなる。香住泰『幸せジャンクション』を読んで。
バッドエンドよりハッピーエンドがいい。
映画やドラマにはバッドエンドでも高評価のものがあります。伏線をうまく回収していたり、どんでん返しがおもしろかったりと理由があると思います。
でも、なんだか観たあとにモヤモヤが残る。僕はバッドエンドが好きになれないんですよね。
そこで明るい気持ちに、そして爽やかな気分になるような小説を紹介したいと思います。
香住泰さんの『幸せジャンクション』です。
ある日、勤務先の運送会社が倒産し、途方に暮れる主人公の浜浦遼二。
社長から退職金の代わりにとキャンピングカーを手に入れる。
そのキャンピングカーをきっかけに不思議な縁がつながり、つながり、兵庫県から東京都を往復する3泊4日の人助けの旅が始まる。
小気味よい展開で進むストーリー。読みはじめるとページをめくる手が止まらなくなります。
人の役に立つと心が豊かになる
『幸せジャンクション』のキーワードの一つ。それは人助けです。
主人公・浜浦が時には成り行きで、時には自らの意思で人助けをします。
主人公のように善意を持って人に接する。
「僕はできているかな?」と考えさせられました。
人助けといっても、おおげさなことは必要ありません。ささいなことでいいんだと思います。
✅誰にでも気持ちよく挨拶をする
✅素直に感謝の気持ちを述べる
✅他人の長所を見つけて褒める
ビー玉くらいの小石でも水面に投げれば波紋が広がり、どんどん大きくなりますよね。
それと同じように、小さな行動が周囲の人にに影響を与え、周囲の人が誰かにまた影響を与える。
そうして善意が広がっていくんだと思います。
人とのつながりが薄れている今こそ、勇気を出して「何か手伝えることはありませんか?」と言いたくなりました。
また知らない誰かに限らず、もっと身近な人を大切にしたいという気持ちにもなりました。
人との出会いが自分を成長させる
主人公・浜浦は、旅の途中で出会う人々の生き方に影響を与える、不思議な魅力を持った人物です。
そして主人公自身も人との関わり合いのなかで本来の自分を取り戻します。
人は、人との出会いによって成長します。
価値観や考え方の違う人と関わることで、新たな学びを得たり、考え方の偏りに気づいたりするでしょう。
また自分自身も誰かに影響を与えていると自覚すれば、謙虚さや素直さ、向上心を持って行動しようとするのではないでしょうか。
きっと感情のままに振る舞わないはずです。
アンパンマンの原作者やなせたかしさんは「人生はよろこばせごっこ」と言いました。
人と出会い、成長し、その成長した分だけ誰かを喜ばせられたらいいですよね。
『幸せジャンクション』は読み終えたとき他人にやさしくなれる。そんな本でした。