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Photo by
ekakinonakagawa
知らない世界をぼーっとする
「何をぼーっとしているんだ」
という授業中の先生の声を思い出す。
「ぼーっ・・・」としていたあの子たち。
窓の外を眺めていたあの子。
黒板を見ているようで、ほんとはその先にある漆黒の宇宙を旅していたあの子。
子どもだったわたしは、彼らのことがよくわからなかった。
わたしは、目の前のことをきちんとやってしまう。
授業を受ける時間は、授業を受ける。
「何をぼーっとしているんだ」
と先生に言われることはなかった。
だからぼーっとしている子たちがうらやましかった。
彼らはひとりで楽しんでいる。
今ここにはいない。
雲のうえか、昨日食べたカレーライスの海の中か。
ヒーロー戦隊の一員になったか。
恐竜から逃げる小さなネズミになって大冒険しているか。
誰も想像がつかない自分だけの世界を
ぼーっとしていたに違いない。
そんなあの子たちが書いたなら。
だいぶ大人になって最近のわたしは
ぼーっとできるようになった。
ぼーっとしてしまって、
隣の部屋まで取りに行ったハサミを
あちらのテーブルに置いたまま、
用のないハンカチを持って来てしまう。
着たはずのワンピースは目の前のハンガーにかかっていて、自分の体を見ると昨日着たセーターを身につけている。
今朝は、電動ミルでコーヒー豆を挽いている最中に蓋をわずかに開けてしまい、辺り一面に粉が飛び散った。結構なパワーで挽いているのだな、と感心した。
これはnoteのおかげだ。
noteのことを考えていて、目の前のことが当たり前にできない。頭の中は言葉でいっぱいだ。
「何をぼーっとしているのだ」と
笑いながら自分に言える大人になった。
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