在るだけの日
涙はいらない。
喜びもいらない。
正しいことも欲しくない。
だが囚われる。
隣人への憎しみに。
妬みに。
怨みに。
すべてを呪い
心の中で悪罵の限りを尽くすけど
表面は従順な羊。
今日も愛想笑いを
ヘラヘラ浮かべて
怯えた瞳で
周りを見回して
傲然な自尊心を抱えて
心中周りを見下していても
私がどう思われているのか
気になって仕方がない。
そして誰にも嫌われたくない
隣人を蔑みながらも
私のことは大切にしてほしいと
自分勝手な願望をも抱く。
相反する二人の私。
私は私に引き裂かれる。
そして
いつもそこにたどりつく。
虚無の園に。
虚しさだけが空に満ちあふれた
グズグズとした泥土と
神経を苛立たせる腐臭がたちこめる
心に蔓延った園に。
そこで疲れ果てた私は
私を見放す。
私が私であることを放棄して
すべてを成すがままに任せる。
でもダメ。
隣人が
視界の端をかすめたら
たちまち囚われる。
妬みに憎しみに怨みに。
なんの客観的妥当性もない
一方的に心中で湧いてくる
劣情に。
臆病で傲然たる自尊心
それに首輪を繋がれた囚人
それが私。
看守も私。
私を諦めることもできず
すべてを捨てることもできず
今日もグタグタと
生ゴミにまみれたような肢体を晒して
生命活動を続ける。
どんなに情けなくても
怖いから。
傲慢だから。
だが
予感はある。
繰り返される
諦念と執着の果てに
真に私を棄てられる日が来ることを。
私が私を
ぐちゃぐちゃに潰して
私が来た場所に
還る日が来ることを。
きっとその日も
私は地上で息をしている。
でも
私は私ではなくなっている。
ただ、在るだけ。
泥にまみれて
無様に手を振り回すだけの日々。
だが、在るだけの日は
きっと来る。
それこそが
唯一の望み。
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