半側空間無視について④:ADLアプローチについて
はじめに
初めまして、くろと申します臨床4年目、回復期リハビリテーション勤務の作業療法士です。
今回は、半側空間無視のADLアプローチについて述べていきたいと思います。
半側空間無視は、右半球障害に多く生じます。
損傷の対側側に注意が向きづらく、無視してしまうものです。
食事動作
食事動作では、自己中心性無視や対象中心性無視などが生じます。
食事場面は観察でわかりやすく、どんな半側空間無視なのかについても理解を深めることができます。
食事動作の評価として、
どうすれば左側へ注意を向けられるかという視点での観察が重要です。
食事動作の障害
・口腔内半側空間無視
→「左側では食塊が消える」「左側では食塊が思い浮かばない」など
・ペーシング障害
→性急な行動がみられ,ゆっくりと行動できないなど
・運動無視
→運動麻痺がない/軽度であっても麻痺手を使用しない
※食事動作での無視症状は急性期で多く、他ADL と比して改善されやすい。
これは、注意する空間が比較的狭く、右側の食器に食物がなくなると左側へ探索しやすくなるためと考えられる。
①言語的な注意喚起
声かけで無視側の注意が可能なら、これを繰り返すことが有効となります。
②注意すべき食器の情報提示
→食事前に、トレーや食器の縁を指でたどらせて空間認知を促す。
→食器の数を伝えたうえで一緒に数えて確認する。
→空間認知が悪い場合、左上肢を左側に置いて探索の手がかりにする。
→右側にトレーを置いての食事から始め、徐々に正面へ配置する。
③環境調整
→右側の刺激を遮断する→テーブル上の整理整頓→静かな環境設定
④視覚的フィードバック
→半側身体失認、感覚障害などで、左側身体が汚れていても気がつかない、拭き取ろうとしないことに対して、鏡で気づかせることも有用である。
⑤ペーシングの障害に対するアプローチ
→ひと口の量・速さに、食具を持つ手を介助し、ペーシングの指導を行う。
→スプーンを小さく浅い形状にすることも有用。
⑥姿勢を調整する
→ベッド上で背上げ機能を利用したり、端座位となる。
→車椅子上で食事をする
⑦代償方法
→自己中心性無視で左側の食器を無視する場合は、トレーごと非無視側に移すことで、トレー全体を認知できる。
→対象中心性無視で、食器内の左側の無視がある場合は、食事の途中で食器を回転させたり、トレーごと回転することが必要となります。
⑧自己中心性無視へのアプローチ
→意図的に左側に車椅子や椅子を配置して食事をとる
⑨対象中心性無視へのアプローチ
→体幹の左側回旋による改善は、認めにくい。
→感覚を利用し、食器の縁を指でたどり食器内の食べ残しを指摘する。
整容動作
続いて、整容動作についてです。
整容場面でみられる無視症状
・左側の顔を拭かない、髪を整えない、ドライヤーをかけない、磨き残す
・運動無視→左手を使用しない
・ペーシング障害
→顔を洗っても十分ではない
→歯磨きで数回のブラッシングで済ませたりする。
・消去現象
→右手で髭を剃る間に、左手で持っていたローションをこぼす。
→右手で歯を磨く間に、左手のコップの傾きに気づかず水をこぼす。
・左側への過剰な操作
→化粧で左側が濃い、口紅がはみ出す、髭剃りで頭髪を剃ってしまう。
・身だしなみへの無関心さ
→無視患者では、身だしなみを整えることに対して無関心な傾向がある。
①身だしなみへの意識づけ
・入院中は整容の意識が低い場合もあるが、外出、外泊時、退院後は、他者を意識するようになり、変化することも多いです。
→日頃から身だしなみの必要性を認識する機会を設けて習慣化する。
②道具を同じ場所に配置する
・整容動作は、洗面所、ベッド上など、決まった場所で行われる。
→歯磨き道具やタオルなどをまとめ、同じ場所に配置する
③洗顔
→鏡で不十分な箇所に気づかせる。
→洗顔は一時的に覚醒を促すことが報告されている。
④整髪
・左側を整えなかったり、左側で髪をとかす回数が少なかったりする。
→鏡を使ってセルフチェックする。
⑤歯磨き
・麻痺側の顔面麻痺や口腔周囲筋の弛緩性麻痺で口腔機能が低下する。
・感覚障害により食物の残留物が停滞しやすい。
→歯が磨かれているか、歯ブラシを当てる場所、向き、方向、強さ、鏡を見ているか、などを観察する。
→声掛け、徒手的誘導、鏡での確認をする。
⑥手洗い
・介助での手洗い
→徐々に左手を注視できるようにする。
→左手を徒手的に介助→自分の右手で触れて洗える範囲を増やしていく。
更衣動作
着衣場面でみられる症状
・袖口が見つけられない、無視側の袖通しが困難、背中部分をまとえない、袖の左右や通す場所を間違える、途中で脱ぎ始めるなどの誤り、ボタンのかけ違い、ボタンを通せない、紐が結べないないなど
構成障害
・ボタンとボタンホールを正しく合わせられない。
・袖を誤った方向に引っ張る、うまく畳めない。など
注意障害
・途中で止まる、手順を間違える、誤りを修正できない、着衣完了時に衣服の乱れを整えない。など
半側身体失認
・衣服や身体の部位を確認するとき、無視側身体部位のみ認知できない。
着衣障害の要因
①視空間性ワーキングメモリの低下
②視覚的イメージ操作の低下
③経時的に形態や空間的位置関係が変化することの認知障害
【対応】
①自己身体部位、位置関係を認知させる。
②衣服の構造を、左右、裏表側を含めて認知させる。
③身体と衣服の空間的位置関係を把握させる。
④着衣手順を想起し、経時的変化を適切にとらえながら遂行する。
※物品は多岐にわたり、患者毎に着用物品を評価し、練習する必要がある。
①誤り無し学習
・正しい動作の反復練習を基本とする。
②代替え練習
・事前に正しい動作を模擬的に練習する。
例)
衣服と身体の認知、両者の空間的位置関係の理解無視側身体に洗濯ばさみ、テープを取り付け、外す練習をする。
→袖口に見立てた輪投げやセラバンドなどを腕に通す練習を行う。
※輪投げの輪は、形状が変化しないため初期に用いることが多い。
→視覚走査訓練を伴う物品操作の練習が着衣の改善に寄与する
③代償練習
・ラベリング
→左右を認識しやすいように印やラベルを貼り付ける方法。
④実用練習
・半袖→長袖、かぶり→前開きの順に段階づけをして練習する。
・順序を一定にする
→無視側から着る、混乱した際には、はじめからやり直す
⑤プロンプト・フェイディング法
・よい行動を増やすため手がかりを与え、よい行動を確実に引き出したら、手掛かりを徐々に減らしていく
⑥逆方向連鎖化
・複雑な行動を学習する際に、最終段階から開始する技法。
・着衣動作を過程で分け、最後過程から行う。
・最後から2 過程前までを介助して残りの2 過程を行わせる。
⑦手続き記憶の利用
・慣れた道具を用いたほうが良好なパフォーマンスが得られる場合が多い。
⑧視覚情報の遮断と体性感覚の利用
・誤った視覚情報を遮断し、残された体性感覚を利用する。
・閉眼することにより着衣が可能となる場合がある。
⑨環境調整
⑴個室空間
・不要なものを除外し、カーテン等を使用し個室空間を作る。
・視覚、聴覚刺激を調整し、練習に集中しやすい環境で行うため。
⑵鏡の利用
・無視側前方に鏡を設置し、無視側を確認できるようにし、無視側の着衣が
改善した例も報告されている。
・鏡を適切に認識できるかを評価したうえで導入する必要がある。
トイレ動作
トイレ動作の過程
①車椅子~便座への移乗
②下衣操作
③殿部の清拭
※移動、手洗いなども一連の動作として重要となっています。
具体的な症状
①無視側の壁などにぶつかる。
→特に車椅子を使用する場合には頻回に認める。
②便座に対して適切な位置に停車できない
③無視側ブレーキのかけ忘れ、フットレストからの下ろし忘れ
④便座の中央に着座できない
⑤無視側の下衣(ズボンや下着)の下ろし方が不十分な場合がある
⑥トイレットペーパー・流水レバーが左側にあると見つけられない
⑦トイレットペーパーをスムーズに切れない、殿部の清拭が不十分
①立位バランス訓練
・トイレ動作は、下衣の上げ下げ、便座や車椅子からの立ち上がり、移乗動作時の方向転換など、立位を伴うことが多いため、動的な立位バランスの向上をはかる必要があります。
②環境調整
・非無視側への設置可能ならば、点灯スイッチ、手すり、洗浄スイッチ、トイレットペーパーなどを、非無視側に設置する。
・目印の導入見落としに対し、カラーテープで目立たせたり、矢印などの貼り紙で示したりするなどの工夫をする。
③下衣の工夫
・脱ぎやすいものを選択する。
・腰回りはゴムのものを選択し、伸縮性に富んだ素材を選ぶ。
・衣服に目印をつける。
④ペーパーホルダーの工夫
・ペーパーホルダー上部の縁にカラーテープを貼る。
・うまく切れない場合は、ペーパーホルダーの上に軽いおもりを乗せたり、片手で切れるペーパーホルダーに変更する。
⑤逆方向連鎖化を用いた学習
・トイレ動作においてもその効果が報告されている。
⑥下衣操作
・下衣操作は無視側下衣を下ろすのが不十分な場合が多い。
・声かけで注意を促したり、セラバンドなどを用いて練習をする。
⑦殿部の清拭
・注意障害による拭き残しがあったり、トイレットペーパー切れない
→丁寧に行うように、左側への認識を促すように、声かけを行う
⑧夜間時の対応
・高齢者の夜間トイレ動作時における転倒が多い。
・USNがある場合、Ns 、介護士と連携し、夜間のみポータブルトイレや尿器を使用することも有用です
。
⑨介助方法の統一
・トイレ動作は何度も行う活動ため、多職種がかかわることが多い。
・使用するトイレ環境や、患者に対する介助方法、声かけを統一する。
・同じ状況・動作を繰り返し、ひとまとめに記憶し利用できる。
入浴動作
入浴動作でみられる症状
・無視側の脱ぎ忘れ、無視側の洗い残し、粗雑な様子を認める。
・左下肢が浴槽の縁に引っかかる、左側を壁などにぶつける。
・シャンプーや浴槽内手すりが左側に設置してあると見つけられない。
・入浴動作へのアプローチ
①洗体動作
・半側を中心とした身体の洗い忘れや粗雑さが生じる。
・特に肩や背中の粗雑さが目立つ。
・どの身体部位で認めるかを観察する。
②浴槽内動作
・浴槽出入りのまたぎ動作、浴槽内での立ち座り動作が求められる。
・立ち座り動作では、浮力によって立ち上がり動作は容易となる。
しかし、無視患者では立ち上がるとき、非麻痺側下肢を十分に引かないまま手すりを利用して立ち上がろうとする。
③入浴後の着衣
・着衣可能であっても、入浴後の着衣は身体が湿り、困難となりやすい。
・長時間を要する場合に適切な時間内で着衣可能かも評価する
④またぎ動作
・浴槽を使用してまたぐ練習を行う。
⑤洗体動作
・洗体ではシャワーやボディソープを使って身体を洗うことが必要となる
・粗雑になる箇所を中心にタオルで身体をこする練習や、洗濯ばさみを取りつけて外す練習で自己身体認知を促すのも有効である。
⑥環境調整
〇道具の選定
・洗体タオルを泡立てることが困難な場合
→石けん類をプッシュ式に変える。
・タオルを使用せず、掌に直接ボディソープをつけて洗うのもよい。
移乗動作
①準備動作
・ブレーキ、フットサポートを確実に操作できることは重要。
・片麻痺患者110 例を対象にした車椅子移乗動作の調査
→車椅子の位置、ブレーキ、フットサポートの確認が不十分であった症例は、全体の53.853.8%であった。
②立ち上がり
・意識障害とPusher現象を呈した重度片麻痺患者における起立動作練習に、段階的難易度調整による介入を適応し、起立動作が可能になった報告がある
③方向転換
・立位での方向転換が困難な重度片麻痺患者2 例
→段階的難易度調整を用いた介入を実施。
・平行棒で120 の方向転換を30 ごとに細分化し、段階的に回転角度を広げる
【結果】
・介入開始1 週間以内で方向転換が可能となり、監視下での移乗動作ができるようになったと報告している。
④着座
・移乗動作を完結するためには、安定した着座が必要となる。
・勢いよく後方に倒れ込むように着座する場合が多く見受けられる。
・指導のポイントは「ゆっくり腰かける」ことで、体幹・股関節屈曲位で
座面まで、支持基底面の後方で重心を保つ必要がある。
寝返り・起き上がり動作
・通常は寝返り、起居、起立、歩行の順に困難になる。
・USNを合併した重度片麻痺患者の場合には、逆転現象が生じ、
寝返り、起き上がりが難易度の高い動作になる。
その他の症状
・整理整頓に無頓着
・ベッドに対してまっすぐに寝られない
・動作手順の無視
①半側上下肢に対する準備
・麻痺側上下肢が取り残されないよう支えたり、無視側下肢の下に非無視側下肢を置いたりするように声かけで注意を促す。
②回旋相
・クッションを利用した寝返り練習
・ベッド柵を掴んでも寝返りが困難な場合がある。
・クッション等を当て、半側臥位からの寝返も有用。富田駿2015 (27
③on elbow 相
・on elbow になるためには、頭部を、支持する前腕に近づけながら床面を
押す動作と、頭部を挙上する動作を合わせることが重要。
・まずは頭部の位置を高くした状態から開始する。
④起き上がり相
・起き上がりはon elbowから右手支持へ移行し、座位姿勢となるまでの過程
・肢位が高いほど起き上がりは容易になる。
・ベッドの背上げ機能を利用して、課題の難易度を調整する。
⑤一連の動作としての練習
・寝返りや起き上がりは、連続した動作である。
・個々の相で動作を習得できたら、一連の動作として練習する。
その他の動作
・布団をかけられない、よけれない
・枕を頭の適切な位置に置けない
歩行
①具体的な無視症状
・歩行可能なUSN 患者は、身体的に良好なことが多い。
・その反面、生活空間が拡大し、転倒、接触といった危険がある。
・主に遠位空間の無視が生じやすくなる。
→歩行中に次第に右側に寄ってしまう、狭い空間では左半身をぶつける、
→左側にあるトイレや自室に気づかず通り過ぎる。など
歩行へのアプローチ
①自己教示法
・無視患者が「左をよく見て歩く」と述べ、歩行を開始するというもの。
・USN により自室からリハ室やトイレへ行くことが困難な症例に対して
自己教示法を用いなかった時期よりも用いた時期のほうが、無視の回数が
有意に減少し,道順を間違える回数も減少した報告がある。
②視覚探索の要素を歩行練習に取り入れた二重課題
・高齢者の転倒を予防することを目的に、TMT A を歩行のツールとして用いたTrail Walking Exercis を開発した。
→これは、5 m 四方の領域に①~⑮までの円柱をランダムに設置し、
①から⑮までを早く通過していく練習である。
③経皮的電気刺激とスマートフォンの併用
・遠位空間の無視を呈した無視患者に対して、歩行中に通常の視覚走査訓練を行った場合と視覚走査訓練の際に左頸部筋への経皮的電気刺激を併用し、歩行練習後にスマートフォンを利用したFB を行った場合を比較している。
【結果】
経皮的電気刺激とスマートフォンを併用したほうが歩行中の無視症状の改善と左側への衝突に対する病態失認の改善を認めた。
④人や自動車の往来が少ない安全な経路を選択する
⑤屋外での環境調整 看板などを目印として利用する
車椅子駆動
車椅子駆動の具体的な無視症状
・車椅子駆動は、片手片足の操作に加えて、外空間に注意を向ける二重課題となっているため、自立困難な動作の1 つでもある。
・主に遠位空間の無視が生じやすく、車椅子の左側をぶつけたり、
左側へ曲がろうとすると車椅子をぶつけたりしてしまう。
①クロスオーバー
・線分二等分試験を行った場合、線分の長さで中点が変わる。
・提示される線分が非常に短い場合、主観的中点は、逆に左側に偏位する。
・例えば、幅が広い通路を通る際には中央より右側を通っていた無視患者
が、幅が狭い通路では左側を通る傾向を示す。
②車椅子駆動すること自体の問題
・片麻痺患者の車椅子駆動は、体幹前傾駆動がよい。
・無視患者では、体幹をバックレストに押しつけて駆動する傾向がある。
③姿勢の崩れ、片手片足を同時に動かすことの困難さ
・一般的に、片麻痺患者の車椅子駆動は、片手でのハンドリム操作が車椅子
の動力で、片足の動きによって駆動と方向を操作している。
・この2 つの動作を協調させることで車椅子を駆動することが可能となる。
・無視患者では同時に動かすことができず、無視側へ曲がってしまう。
①車椅子の操作練習
・無視患者では、片手足による車椅子操作を学習しながら、同時に外空間へ注意を向けることは難しいため、まず車椅子操作の練習を優先する。
②体幹の使い方を練習する
・体幹を前傾して足底に力を伝えて床を蹴り、体幹をバックレストへ押しつけないで操作する練習を行う。
③片足での操作練習
・片足で操作することから始める。
・高次脳機能障害を合併した重度左片麻痺患者に対する車椅子操作の練習方法として、タオルの引き寄せ練習、靴底に滑り止めシートを取り付けた片足での操作練習、直進テープを利用した操作練習が報告されている。
④片足での操作から片手片足での操作へと段階づける
⑤直進走行から曲進走行へと段階づける
無視症状に対して
①右空間の情報を手がかりにした車椅子駆動練習
・左側衝突を回避するため、左空間への注意喚起を行う声かけより、
右空間を手がかりにした練習の有用性が報告されている。
②視覚走査訓練との組み合わせ
・車椅子駆動と視覚走査訓練を組み合わせることで、障害物の間を移動する
課題で左側の衝突が著明に減少した。
・段階的に難易度調整した視覚走査訓練と車椅子駆動練習を実施し、2 つの
課題が確実に行えた後に組み合わせることで、車椅子駆動が自立した。
③電動車椅子の操作レバーの配置とトレーニング
・電動車椅子のレバーを非無視側と無視側に設置した場合、練習前後の障害
物の衝突回数とスタートからゴールまで所要時間とを比較すると、無視側
にレバーを設置した場合、所要時間が短縮し、障害物への衝突がなくなっ
たと報告している。
④対物センサーを取りつけた車椅子駆動
・車椅子に障害物との距離感をブザー音で知らせる対物センサーを取りつけ
て、10m の距離の間に6 つの障害物を設定し、走行テストを実施した。
・結果、障害物の回避回数が増加し、衝突回数が減少した。
環境調整
①左側の障害物を除去する
・左側の障害物 椅子、箱、カートなど を取り除くなどUSN があっても安全
に生活できる環境を整える。
②道順に対する視覚的手がかりの導入
・視覚的な手がかりとなる目印の導入や動線を利用して、左側にある場所を
認識させる。
ベッド周囲の環境調整
①無視症状
・USN によりナースコールを見つけられない。
・半側身体失認により寝返り、起き上がり時に麻痺肢に配慮できない。
②他動性
・ベッド上で身体を頻回に動かし、落ち着きがないようにみえたり、背上げ機能を使ってベッドの背を上下させることを繰り返していたり、車椅子に座っても目的なくハンドリムを前後に動かしていたりする。
③1 人で行動してしまう
・能力以上の動作ができると思い、1 人で立ったり、歩こうとして転倒、
転落を繰り返すことがある。
おわりに
いかがだったでしょうか。
ご覧になっていただき、ありがとうございました。
半側空間無視についての気づきと介入について投稿しました。
次回以降のIADLの介入、予後予測と最近の研究についても、また、よろしくお願いいたします。