高齢化でも成長できるはず
日本は高齢化が進んでいる
内閣府によると、高齢者1人当たりにつき、2015年には現役世代2.3人が支えているが、2065年には1.3人に減少するという。
内閣府:高齢化の現状と将来像
メディアでは、このままでは現役世代の負担が大きくなり将来的な成長が見込めない、という論調が多い。
だが、ちょっと待ってほしい。恐らくそれ、嘘だと思うのだ。
確かに、現役世代の社会保険料の負担は大きくなるだろう。現役世代の比率が半分に下がれば、負担は単純計算で2倍となる。
だが、その社会保険料、負担して終わりではないはずだ。
負担した社会保険料は、高齢者の年金となって生活を支える。医療や介護などのサービスも受ける。つまり高齢者はそのまま消費者でもある。そして高齢者が消費する金額は、現役世代の収入になる。
高齢者1人当たりの現役世代が減少するということは、逆に言えば現役世代1人当たりの消費者が増えるということでもある。
高齢者1人当たりの現役世代が2.3人から1.3人になれば、高齢者1人当たりの消費金額を現役世代2.3人で分割していたのが、1.3人で分割することになる。現役世代1人当たりの収入は増えるのだ。
だから、現役世代の負担は増えるが、それだけ収入も増えるはずで、その点では特に悪くなるわけではない。
もちろん、高齢化とは人口減少でもあるので、国全体としてのGDPは相対的には下がるだろう。それはそれで問題なのだが、国全体と1人当たりのGDPは違う。1人当たりの収入については、悲観することはない。
ただしこれには条件があって、
1.高齢者が遠慮なく消費すること
2.高齢者の需要を国内の現役世代で供給できること
である。
1に関しては、保険料を受け取った高齢者が溜めるだけ溜め込んで消費に回さない、というのが一番困る。ちゃんとモノを買ったり、色々なサービスを受けたりしてくれなければ、現役世代は社会保険料の支払い損になる。
2については、その需要を国内で賄う必要がある。現役世代は減っていくのでAIやロボットでの効率化は欠かせない。消費できるだけのモノやサービスを、少なくなった現役世代で生産しなければならない。
また、安易に外国人労働者に頼ってはいけない。海外から出稼ぎに来た労働者は、少なくない金額を日本での消費ではなく自国の家族へ送金するだろう。日本の富が海外に流出するだけである。
以上から、ちゃんと需要があり供給があれば、今後たとえ高齢化しても、1人当たりのGDPが下がっていく必然性はない。国全体としてのGDPの減少
はまた別の問題として、悲観するよりも将来へ向けての効率化を進めていくべきなのである。