飲食店に最小のオペレーションで挑む。田舎で女性がキャリアを積むことはできないのか。
こんにちは。
社長です。
先日くりおのくらしは次のステージに進みました。
今までテイクアウトしかできない店でしたが、今回は店内で飲食できるスペースを設けました。
といっても、場所は3月に閉園した保育所の園舎を週末だけ間借りしたのです。
元保育園ですから、保育室と調理室がしっかり分かれており、飲食店としてはオペレーションの動線が不自由です。
でも、地域にあるものを活かして活動することが大事ですので、この動線でどうしようか...と考えました。
どうしても一人雇う必要がある問題
現在くりおのくらしは、テイクアウト専門店舗をスタッフ3人で回しています。
互いに休みを入れるには、この人数が必要。
今回はそれにもう1店舗ですから、そこの専属1人に、テイクアウト専門店舗から1人を派遣します。
なので、テイクアウト専門店舗2人、イートイン店舗は2人のオペレーションで回します。
ときにはテイクアウト専門店舗1人、イートイン店舗2人もあります。
イートイン店舗を2人で回すには、フロア1人と調理場1人という感じになります。
スタッフと事前に何度も話し合ってきましたが、その度に人がもっと欲しいという話になるのです。
しかし、これからますます働き手不足になりますから、今までのように人海戦術を前提にしていたら、事業計画すら描けなくなります。
人の負担を軽くするのは、人にはできない技術。
もともとこのイートイン店舗では、なるべく調理をしないようにしたいと考えていました。
調理に手がかかりすぎると、仕込みと調理に時間と人手がかかります。
選択肢は2つと考えました。
①うなぎ屋のように、専門店にする。
それなら、仕入れも少ないし、作業は煩雑にならない。ただ、技術が必要。
②せっかくテイクアウト専門店舗があるのだから、そこをセントラルキッチンとして機能させ、イートイン店舗ではなるべく少ないオペレーションで、早く提供する。
私たちが選択したのは②でした。
せっかくスペックの高いキッチンがあるのだから、それを存分に活用し、さらに凍眠で急速冷凍しておく。それをイートイン店舗で当日解凍し、美味しく仕上げて提供すれば、現場のオペレーションはかなり少なくて済む。
こういうシナリオを描きました。
全てを当日調理していたら、ランチの時間までにしなければならないことが多すぎます。逆算すると8時頃には2人出勤して、必死に調理をしなければなりません。
しかし、②の方法なら9時に出勤し、調理場でご飯を炊き、冷凍している食品を解凍するための湯を沸かし、その間にフロアの掃除やセットをする。ランチ1時間前ごろにサラダの野菜をカット、凍眠していた調理済みの料理を湯煎解凍し始める。
フロアにお客さんが来るまでなら、完全に一人で間に合う。
ここまでは想定通りにできました。
問題続出
オープン当日、いざやってみればけっこうバタバタで、フロアにいて欲しいスタッフまでも調理場にいる時間が長くなってしまいます。
先述したように、フロアと調理場は完全に分かれており、フロアの様子は調理場にいてはわかりません。
この日はたまたま私がフロアのレジの設定が長引いて、フロアに張り付いていましたから、マネジャーのように、調理場のスタッフに「お客様来られましたよ」など伝えたり、清算業務をすることができましたが、どうもこれでは理想とかけ離れています。
翌二日目はさらにお客様も多く、バタバタしました。
前日よりもお客様をお待たせする時間が長く、フロアにいて欲しいスタッフが調理場にいる時間が長くありました。
調理場の機材配置、調理から盛り付け、配膳までの動線もよくないことがわかりました。
細かい改善の積み重ね
少ないオペレーションで回したいと思ったのは、人件費削減のためではありません。
労働供給不足時代へ適応した現場を作りたかったのです。
今はまだ緩やかな変化かもしれませんが、運送、建築、土木、教育、福祉、金融業界などで確実に労働供給不足が実感されます。
労働力不足が改善されることはありません。
今のうちからそれに適応できる準備が必要です。
そのためには、労働力を補う機械と、それを扱うことが出来る人と、適切に供給できる人が育っていることが必要です。
数年先を予想しながら、必要なことを訓練しておくことが大事です。
イートイン店舗をオープンして分かったことは、調理場の動線にまだまだムダが多くあること。つまり、やらなくてもいいことをやっていいて、そのために働く人が心理的ストレスが増大してしまっていたのです。
テイクアウト専門店舗とイートイン店舗の両方を備えている強みを、まだまだ上手く活用できていないのです。
現場がスムースに回るようになれば、そこからさらに地域課題の解決に役立つ取り組みができるはずでから、マージナルゲイン(小さな改善の積み重ね)を行いながら、とにかく続けてみることが必要とされます。
これからの時代に必要と思われるキャリア
グローバル企業に勤て海外勤務とかしない限りは、地方であろうが都市部であろうが、日本に住んでいる限り、労働供給不足問題は避けて通れません。
労働力が不足することは、自分が利用したいサービスが満足に利用できないことになりかねないのです。
特に人口減少、少子高齢化が急激に進む田舎では、顕著です。
その地域の暮らしを持続するためには、一人の人間がいくつもの役割を担い、何倍も働かなければなりません。
しかし、それを全て人が行うことは限界があります。
そんな苦労するところになんか、誰も住みたくありません。
なのでこれからは、一人の労力を何倍にもできる方法が必要です。
特に田舎は人の労力を何倍にもする方法がなければ、もうそこに暮らすことはできません。
私はその、一人の労働を何倍にもできる機材を扱える人が女性であれば、なおいいと思います。
会社の役職に就くことや昇進していくことだけがキャリアを積むモデルではないと思います。
その時代に必要なスキルを身に着けていくこと、それを社会に役立たせていくことが大切です。
社会の変化を気にしながら、少し先を予想し、必要と思われるスキルを身に着け、それを使い、他者の困りを助けていく。
くりおのくらしはそこにチャレンジしている会社です。
今はまだ手探り状態ですが、少しづつ地域にあるニーズが見えてきました。
オープンして7カ月が過ぎました。
スタッフの技術はかなりレベルアップしています。
これからも、少し先を見ながらどんどんチャレンジをしていきますよ!
できることはまだまだありますから。