見出し画像

くらしの音


2年前の冬、とある生活雑誌のバックナンバーから見つけた記事『音のここち』の話。


この筆者はデザイナーで、仕事においても日頃から「ここちいい生活って何だろう」と考え続けてきたそうだ。
そして、本誌で私がなにより魅力を感じたのは、筆者が実際に体験したという「ドイツの駅のアナウンス音」である。

これは10年前くらいに書かれた記事で、現在はすでに変わっているかもしれないが、当時のアナウンス音は、まず低い木琴のような音で2音。それに続いて低い女性の声で、行き先が短く一言。広いホームに流れていたそうだ。

いつか私もその音を聴いてみたい。
今暮らす街でも、あらたな心地よさに出会えそうな気がした。

***

朝シャッとカーテンを開ける、一日の始まりの音。薬缶で湯を沸かす音。カレンダーをめくる音。コトコトと料理をする音。扉を開く音。チャポンとお風呂に入る音。


ふだん無意識に感じている心地よさは、きっと小さな積み重ねでできている。

たとえば部屋の中なら、ものの置き方のわずかな差や導線、腰をかける位置によっても、くらしの音は少しずつ、どこまでも変化していく。
だからこそ、ちょっとした仕込みや調整が必要なのかもしれない。

筆者は最後に、「色がいい、かたちがいい」というだけでなく、『音がいい』という言葉を皆で使うようになりたいと語っている。
私もその1人になることを願いながら、暮らしの中に"好き"を増やしていきたい。


くらしのなかの手紙 -暮らしの雑貨と読みもの-
・HP https://kurashi-tegami.studio.site/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?