暮らしのエッセイ|やらない努力
ものすごく平凡な、ある一日の気づきをていねいに書きます。
晩ごはんを食べ終わり、満タンになった食器洗浄機のスイッチを入れて、テーブルをふく。食後の楽しみ、Netflixで見始めたホラーのシリーズ「Stranger Things」を見る準備をする。お酒もチーズも準備万端。手に汗をかきながらホラーを見る。1話では物足りず、2話続けて毎晩見る。
見終えるころには、食器洗浄も完了しているので、ふたを開けて自然乾燥。歯みがきと寝る支度を済ませるころには、自然乾燥も済んでいるので、食器たちをいつでも食器棚に戻すことができる。
だから、私は、寝る前に食器を全て片づけたい。朝起きてから片づけるのよりも、いま、まだ起きて気力があるうちに片づけてしまいたい。もちろん仕事で疲れていれば、その気力はないけれど、今はあるのだから片づけたい。
でも、この前言われた。「寝る前にそんなにがんばらなくていい」と。やりたくないことをやる努力と同じように、やらなければならないことをやらない努力もあるんじゃないかと。確かに、やらなければならないと決めていたのは私だった。
なるほど。結局その晩は、食器洗浄機を開けっ放しにして寝ることにした。朝起きてやるのかあと思いながら寝た。そして、朝起きると片づいていた。「コーヒーを用意している間に片づけたよ」とやる努力をアピールしている相方がいた。