ミルメークのはなし……🥛🥛🥛
あたしはクララ。
あたしの飼い主は67歳と63歳のおばあさんの姉妹なんだけど、昨日、おねえちゃんがスーパーマーケットで買ってきたものを嬉しそうに妹に見せていたの。
大きな袋に『ミルメーク』って書いてあったの。それを見て妹が、
「何でいまさらミルメークなのよ!」と聞いてるの。
「飲んだことないんだもん。この前読んだ『給食アンサンブル』に出てきたから飲んでみたくて買ってきたの。スーパーに売ってるんだね」
と喜んで話してるから、妹が冷ややかにいったのよ。
「給食で飲んだでしょ。牛乳はまずかったけど、これ入れるとおいしかったでしょ」
「えっ、あんた知ってるの?」
「知ってるよ。おねえちゃんだって飲んだでしょ」
「知らない」
「何で知らないのよ、あたしは小学校のときから飲んでるもん、あんただって飲んだでしょ、中学で」
「覚えてない?」
「ウソ、どうして」
おねえちゃん、どうしちゃったの。記憶力はよかったはずなのに、なんで覚えていないのかしら。
あたし、ちょっと心配 byクララ。
おねえちゃんは考えました。
おねえちゃんは、子どもの頃の記憶があまりないのです。
特に給食がおいしくなかったので、ほとんど食べなかったらしい。牛乳は飲んだことがなかったから、ミルメークも飲まなかったのかもしれない。
そういえば去年アレルギー検査をしたら、ミルクアレルギーだったとわかったのだといっていた。
「おねえちゃん、ミルクティ好きなのに飲めないの?」あたしは心配になって聞いた。
「それがね、アレルギー症状が出なければ飲んでもいいって」
「そんなものなの」
「心配しなくてもいいよクララ。加熱してあれば大丈夫らしいから」
夜になっておねえちゃんは、パソコンでミルメークを検索してみた。
昭和42年発売って書いてあったから、やっぱりおねえちゃんも知っているはずなんだって。
「クララ、ショックだ、全然覚えてないんだよ」といっていたら妹が、
「おねえちゃん洪水に遭って、怖かったから記憶から消えてるんじゃないの? あたしは小5のときの担任の先生が思い出せないもの」と妹がいったのよ。
この二人、どんな子ども時代を過ごしたのかしら。
聞いてみたいな。