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飛騨高山で伝統に触れる:日下部民藝館・吉島家住宅

こんにちは

飛騨高山に行くと必ず訪ねる場所があります。

そこは伝統的な建築から工芸品を体験出来て、見学するという感覚よりか少しの間そこに居座っていたくなる、そんな空間体験が味わえます。

ということで今回は、
飛騨高山にある伝統的な建築のお話をしていこうと思います。

日々の合間にのぞいてもらえたら嬉しいです。

それではさっそく


❚伝統的な2つの建築

飛騨高山に必ず訪れるのは櫻山八幡宮に程近くにある「日下部民藝館」「吉島家住宅」という2つの建築物。
そこは伝統的建造物保存地区に指定されています。

まずはそれぞれの建物についてみていこうと思います。

|日下部民藝館

天領時代に代官所の御用商人として栄えた〝日下部家〟の町屋住宅を利用した施設です。
当時の邸宅は明治8年の大火で類焼しましたが、
明治12年に飛騨の名棟梁であった川尻治助が、江戸時代の建築様式を忠実に再現。
土蔵を展示室として開放し、日下部家伝来の〝渋草焼〟など、美術品・民藝品を公開しております。
昭和41年には、明治期の民家として国の重要文化財に指定されました。

日下部民藝館HPより抜粋
一つ一つの道具が暮らしのために作られている

「民藝」と聞くと「民藝運動の父」と呼ばれた柳 宗悦(やなぎ むねよし)を思い出します。

1920年代中頃に柳宗悦らから生まれた言葉「民藝」、つまり民衆による工芸品を合わせた言葉で、これまで「美」の対象とされなかった民衆の道具(日用品)に焦点を当てたとき、そこには名も無き職人の洗練された技術が宿った「美」があると提唱し始まったのが「民藝運動」とされています。

着物と民具
火鉢

「用の美」という言葉を聞いたことがある人がいらっしゃるかと思います。

これも柳宗悦らによる民藝運動から生まれた視点。
使い易さや使い心地を追求地域に根差した技術と天然資源が織り交ざった工芸品から浮かび上がる美点を指しているのだ、とボクは解釈しています。

裏庭
休憩スペースとミュージアムショップがある

ボクも作り手の端くれです。
日頃から製品を作ったり、考えたり職人さんと一緒に進めています。

仏像

「用の美」という言葉を知ったのは、柳宗悦の息子のインダストリアルデザイナーの柳 宗理(やなぎ そうり)からでして、モノを作るときの姿勢というか一つのモノがカタチになり人に届くまでの間、ひたむきに向き合うこと、それを教わった気がしています。

日下部民藝館
五月飾りが展示されていた

そんな背景もあって、ボクは各地域で作られている工芸品を見て、触れるということが建築を見に行くことと同時に大切な学びの時間となっています。

|吉島家住宅

高山で酒造業などを営んでいた豪商・吉島家の住宅として1875年(明治8年)の大火の後に建築された。1905年(明治38年)に再び火災に見舞われたが、吉島家四代目の吉島休兵衛斐之が道に面した一部の焼け残りを生かして再建を行っている。1875年(明治8年)の建築、並びに1905年(明治38年)の再建はともに水間相模宗俊の流れを汲む、西田伊三郎が棟梁となって行われた。また、座敷は上宝村の内山新造が担当した。

Wikipediaより抜粋
吉島家
壁より建具が多い

吉島家住宅は玄関引戸を開けた瞬間に広がる大空間とマス組された木構造(梁や柱)に目を奪われます。
日下部民藝館も同じような造り(棟梁が違う)ではありますが、建築空間は吉島家住宅の方が目を引きます。

吉島家住宅
高窓からの光が美しい
こちらは日下部民藝館
どちらの建築でも圧巻の構造美と技術を見れます

きっとそれは吉島家には作品展示はほぼないからだと思います。
ただただ伝統的な建築空間が広がっている感じです。
ってなると、建築に関わっていない人だとちょっと戸惑ってしまうかもしれません。

障子のような襖のような建具
飛騨高山でよく見るデザイン

ですので、ボクなりのポイントをお話して、訪れた際の参考にしてもらえたらといいなぁと思います。
吉島家住宅は特別順路を指定されているわけではありません。(厳密には2階からどうぞと案内されます。)

まずはグルっと巡ってみてほしい。

その時、気づくのがどの場所も庭(中庭、前庭)と接していること。
巡った中で、自分の気に入った場所で少しの間で良いので腰を降ろしてみてください。

光が、風が、音が、季節の彩りが
開口部から部屋中を巡っていく

そして、
座った場所から庭を眺めるように
、がポイントです。

外に面した開口部からは庭木が見え、そこからは風が吹いてきます。
見えている木々は揺れ、吊るされた簾(すだれ)も“ゆらゆら”としているかもしれません。
晴れた日は光が差し込んできますし、雨の日には雨音が聴こえてくるはずです。

中庭から部屋を見る
暗い分だけ光が際立つ

次は家の中を見渡してみましょう。※座ったまま居る位置を変えてみても良いです。
床の間飾り、襖絵、雪見障子など飾り物から建具や道具の高さが畳に座った時の合わせられていると思います。
特に作品などが展示されていませんが、こうして見渡してみると空間そのものが作品のように見えてきます。

建具の並びで用途が分けられている

少しだけ居る時間外から感じられる自然の営みユカ座の生活様式と道具
これらをセットにしたとき、伝統的な建築の空間を感じられると思います。

たぶん枯山水庭園を眺める感覚に近いかもしれません。

座ったとき、きっと見える風景が変化します

もし訪ねたときの参考になれば幸いです。

▼建具との関係性については以前noteに綴ったのでよろしければご覧ください。


個人的には日下部民藝館は製品デザイン吉島家住宅は空間デザインをそれぞれ学ぶために訪れています。
そこに積み重ねられた知識やアイデアを解きほぐし、少しずつでも学んだことを日頃に活かしてく作業が2つの建築に行く目的です。

吉島家住宅
これも座ったときの高さに
格子が細かく設定されている

日本各地には歴史の中から(長い時間を掛けて)生まれた文化、民藝品が伝統的なものとして今も残っています。

これからも飛騨高山はじめに各地の伝統に触れていこうと思います。

日下部民藝館
伝統的な空間に民藝品の展示はステキでした

飛騨高山に行かれましたら、日下部民藝館と吉島家住宅にぜひ立ち寄ってみてください。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

ではまた

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倉嶋 洋介
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