飛騨高山で伝統に触れる:日下部民藝館・吉島家住宅
こんにちは
飛騨高山に行くと必ず訪ねる場所があります。
そこは伝統的な建築から工芸品を体験出来て、見学するという感覚よりか少しの間そこに居座っていたくなる、そんな空間体験が味わえます。
ということで今回は、
飛騨高山にある伝統的な建築のお話をしていこうと思います。
日々の合間にのぞいてもらえたら嬉しいです。
それではさっそく
❚伝統的な2つの建築
飛騨高山に必ず訪れるのは櫻山八幡宮に程近くにある「日下部民藝館」と「吉島家住宅」という2つの建築物。
そこは伝統的建造物保存地区に指定されています。
まずはそれぞれの建物についてみていこうと思います。
|日下部民藝館
「民藝」と聞くと「民藝運動の父」と呼ばれた柳 宗悦(やなぎ むねよし)を思い出します。
1920年代中頃に柳宗悦らから生まれた言葉「民藝」、つまり民衆による工芸品を合わせた言葉で、これまで「美」の対象とされなかった民衆の道具(日用品)に焦点を当てたとき、そこには名も無き職人の洗練された技術が宿った「美」があると提唱し始まったのが「民藝運動」とされています。
「用の美」という言葉を聞いたことがある人がいらっしゃるかと思います。
これも柳宗悦らによる民藝運動から生まれた視点。
使い易さや使い心地を追求し地域に根差した技術と天然資源が織り交ざった工芸品から浮かび上がる美点を指しているのだ、とボクは解釈しています。
ボクも作り手の端くれです。
日頃から製品を作ったり、考えたり職人さんと一緒に進めています。
「用の美」という言葉を知ったのは、柳宗悦の息子のインダストリアルデザイナーの柳 宗理(やなぎ そうり)からでして、モノを作るときの姿勢というか一つのモノがカタチになり人に届くまでの間、ひたむきに向き合うこと、それを教わった気がしています。
そんな背景もあって、ボクは各地域で作られている工芸品を見て、触れるということが建築を見に行くことと同時に大切な学びの時間となっています。
|吉島家住宅
吉島家住宅は玄関引戸を開けた瞬間に広がる大空間とマス組された木構造(梁や柱)に目を奪われます。
日下部民藝館も同じような造り(棟梁が違う)ではありますが、建築空間は吉島家住宅の方が目を引きます。
きっとそれは吉島家には作品展示はほぼないからだと思います。
ただただ伝統的な建築空間が広がっている感じです。
ってなると、建築に関わっていない人だとちょっと戸惑ってしまうかもしれません。
ですので、ボクなりのポイントをお話して、訪れた際の参考にしてもらえたらといいなぁと思います。
吉島家住宅は特別順路を指定されているわけではありません。(厳密には2階からどうぞと案内されます。)
まずはグルっと巡ってみてほしい。
その時、気づくのがどの場所も庭(中庭、前庭)と接していること。
巡った中で、自分の気に入った場所で少しの間で良いので腰を降ろしてみてください。
そして、
座った場所から庭を眺めるように、がポイントです。
外に面した開口部からは庭木が見え、そこからは風が吹いてきます。
見えている木々は揺れ、吊るされた簾(すだれ)も“ゆらゆら”としているかもしれません。
晴れた日は光が差し込んできますし、雨の日には雨音が聴こえてくるはずです。
次は家の中を見渡してみましょう。※座ったまま居る位置を変えてみても良いです。
床の間飾り、襖絵、雪見障子など飾り物から建具や道具の高さが畳に座った時の合わせられていると思います。
特に作品などが展示されていませんが、こうして見渡してみると空間そのものが作品のように見えてきます。
少しだけ居る時間、外から感じられる自然の営み、ユカ座の生活様式と道具
これらをセットにしたとき、伝統的な建築の空間を感じられると思います。
たぶん枯山水庭園を眺める感覚に近いかもしれません。
もし訪ねたときの参考になれば幸いです。
▼建具との関係性については以前noteに綴ったのでよろしければご覧ください。
個人的には日下部民藝館は製品デザイン、吉島家住宅は空間デザインをそれぞれ学ぶために訪れています。
そこに積み重ねられた知識やアイデアを解きほぐし、少しずつでも学んだことを日頃に活かしてく作業が2つの建築に行く目的です。
日本各地には歴史の中から(長い時間を掛けて)生まれた文化、民藝品が伝統的なものとして今も残っています。
これからも飛騨高山はじめに各地の伝統に触れていこうと思います。
飛騨高山に行かれましたら、日下部民藝館と吉島家住宅にぜひ立ち寄ってみてください。
ということで、
今回はこの辺りで失礼します。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではまた
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