格子を木々に見立ててみた
こんにちは
冒頭は以前写真家さんと作品展を共同開催した時に考えた展示空間をイメージさせる文章の一つです。
「格子」について前回お話させていただきましたが、その中で格子を木々に見立てた展示空間を作ったよ、ということに少し触れたかと思います。
ボクなりに「格子」というものを考え、生活内における格子の機能ではなく別の捉え方をしてみると新たな発見と面白さがあるのではないだろうか。
そんな試みのような気持もありつつ展示空間を設計したのを記憶しています。
ということで、
今回は格子を活用した展示のお話を綴らせていただきます。
よろしければ、格子のお話と合わせてご覧いただけますと嬉しいです。
それではさっそく
■まずは
まずは簡単に概要のお話しますね。
埼玉県飯能市(市民活動センター)にて「自然と暮らし」をコンセプトに写真家 代 政雄(だい まさお)氏とボク(有限会社倉島木工所)との協働による企画展を2019年10月に開催。
奥武蔵地域で見られる自然の美しさを切取った写真作品と地場産材(西川材)を活用した木作品で、奥武蔵的な空間、を構成して【地域の魅力の発信】と【自社木製品の普及】を目的とした作品展示会、という建付けでありました。
地域らしさを凝縮させた空間を多くの人に体験していただき地域や自社(作品)のことを作品展を通じて知っていただく機会になればという感じです。
写真家 代政雄(だい まさお)
山岳写真を中心に、奥武蔵の自然を独自の解釈で切り取った写真は素敵です。
奥武蔵という地域には、豊かな自然が多くあります。
森林の中で多種多様な生物が生息し、また天然資源にも恵まれています。さらに林業(西川材)を中心とした産業は地域の特色の一つと言われています。
それらを踏まえて展示空間を設計し、一つのゾーンを「森の中」を感じながら鑑賞する空間にしました。
そこに「格子」が登場してきます。
■木立を格子に見立てた
概要が長くなってしまいましたが、これから本題に入っていきます。
先程、お話した通り森の中を感じる空間を作るうえで、格子を取入れました。
なぜ、格子、だったのか。
それは森に入ると立ち並ぶ木々に囲まれた風景。
歩みを進めていくと周囲の木々が流れるような、手前と奥が行き交うような、そんな光景を目にします。さらに木々の先にチラっと何かしらの風景が、自分が動いているからその何かしらの風景も、木々の隙間から見えたり隠れたり。
何だろうと気になりながら森から抜けた時に目に飛び込む風景に感動してしまいます。
っていう体験、皆さんはどうでしょうか。
その体験から木々と格子をリンクさせて、見え隠れ、を空間に取り入れることで、鑑賞というよりも、眺める、窺う、という作品の見方が出来るのではないだろうか、つまりそれは森を体験することになるのでは、そのような考えから格子を木々に見立てる設計にしました。
もう少し言うと、格子(木々)だけでは森感は成立させるには足りないと思っていて、当時コンセプトモデル段階だった木と和紙の椅子(紙木のスツール)の座面におが屑(木のチップ)を入れたクッションにして腰掛けた時にフカっと、シャカっとする感触と落ち葉を踏みしめた時の感触をリンクさせていました。
そうして森っぽい空間に写真家 代氏の作品が並んでいます。
順路通りに回っても良いですし、格子と格子の間を蛇行したり、格子の隙間から写真作品を見るのも可能にしました。
当時の経験から、壁沿いに見て回るだけではなく、空間そのものを体験しながら作品を見る、ということは鑑賞の幅が広がりますし作品の魅力が際立つように感じます。
ということで、
前回のお話とリンクする「格子と木々」のお話でした。
今回、触れてきた作品展全体のお話はまた別の機会を設けてしたいと思います。
それではこの辺りで失礼します。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
ではまた
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