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巨匠 ル・コルビュジェの建築を歩いてみよう:国立西洋美術館
こんにちは
しばらくぶりに記事を投稿します。
以前のように体調を崩した、というわけではなく
ただただ日頃の業務を優先せざるを得なかったので投稿が滞ってしまっていた、が理由です。
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では今回のお話に移っていこうと思います。
東京上野、上野恩賜公園にある国立西洋美術館行ってきました。
ここは世界的建築家 ル・コルビュジェが日本で唯一出かけた建築です。
2016年には各国で手掛け現存しているコルビュジエの建築作品が「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」として世界文化遺産に登録されています。
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ということで、コルビュジェ建築を体験したお話を綴っていきます。
お時間のある時にのぞいてもらえたらと思います。
|国立西洋美術館とル・コルビュジェ
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まずは、「ル・コルビュジェ」と「国立西洋美術館」について少し触れていこうと思います。
近代建築(モダニズム建築)と呼ばれる活動に大きな影響、貢献をした内の1人が建築家ル・コルビュジェです。
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ファサード
※撮影2024.2
彼は近代建築における世界3大巨匠の1人に位置付けられていて建築の歴史、教科書には必ず登場してきます。(他2人はフランク・ロイド・ライトとミース・ファンデル・ローエ)
ル・コルビュジエ(1887-1965)、本名シャルル=エドゥアール・ジャンヌレはスイスのラ・ショ-=ド=フォンに生まれ、同地の美術学校で学びながら建築家を志すようになります。
-中略-
1920年に創刊した雑誌『レスプリ・ヌーヴォー(新精神)』において「ル・コルビュジエ」のペンネームで建築論を連載し、新しい建築や都市のあり方を問い始めます。
1922年に従兄弟のピエール・ジャンヌレと事務所を設立すると、以降は建築家として旺盛な活動を展開し、合理性や機能性を追求した近代建築の先駆者として重要な足跡を世界各地に残していきました。さらにCIAM(近代建築国際会議)への参加や膨大な数の著作を通じて、ル・コルビュジエの思想や手法は世界的に広がり、20世紀以降のモダニズム建築や都市計画の方向性を決定づけました。
コルビュジェが提唱した「新しい建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由なファサード)」の理念そのままに可視化させたのが「サヴォア邸」という住宅建築です。
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1階エントランス部分がピロティ空間に
※撮影2024.2
現在では普通に見られるガラスを多用に使用した建築や装飾の少ないミニマルでシンプルな建築は、コルビュジェをはじめとした当時の建築家たちが時代のカタチ(モダニズム建築)として手掛け、今なおその影響は続いていると思います。
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そして、その一つの建築が東京上野にある国立西洋美術館です。
国立西洋美術館は、川崎造船所(現在の川崎重工業)の初代社長であった松方幸次郎(1865〜1950)が、1916年から約10年の間にヨーロッパ各地で収集した美術品、通称「松方コレクション」を収蔵・展示する施設として、59年に建設されました。第二次世界大戦中、フランス国内に保管していた松方コレクションの一部が敵国人財産としてフランス政府に差し押さえられました。
終戦後、当時の吉田茂首相がその返還を持ちかけ、これに対しフランス政府は、松方コレクションを主体とした「フランス美術館」を日本側が用意すれば返還ではなく寄贈する、といった条件を提示。ここから美術館建設計画が始まりました。
その後、当時すでに名のある建築家として活躍していたル・コルビュジエに設計を依頼。
ル・コルビュジエは、自身が長年温めてきた美術館の構想を日本で実現すべく、55年10月、契約を締結しました。
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ベースの構想、設計をコルビュジェが手掛け、実施設計は日本にいたコルビュジェの弟子の前川國男氏、坂倉順三氏、吉阪隆正氏に引き継がれていきました。
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メインストリートを挟むように師弟の建築が向かい合う
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家具にも注目
まさにチームコルビュジェ的な感じで国立西洋美術館が作られていったのだと知ります。
|ひと繋ぎの空間
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では、ここからはボクが国立西洋美術館を体験したお話をしていこうと思います。
国立西洋美術館というコルビュジェ建築を例えるなら、森の中を歩いているような感覚、です。
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途切れることなく空間が持続していく
もう少し言うと、
常設展示室に入ると吹き抜けたホールになっています。
そこは天窓や高窓から光が注がれ、見上げると2階各展示室の一部がうかがえたり、空間を遮断せず地続きのように2階へ向かうスロープであったり、
1階ホールにあらゆる物事、現象などが流れ込んでくるかのように感じます。
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ホールに各々の空間、光が流れ込む
さらにスロープを登り2階へ向かう時、ホールの風景が緩やかに変化していきます。
階段とはまた違ったなだらかに視点が変わっていく空間変化はコルビュジェ建築の特徴とも言われています。
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これを森に置き換えてみると、
例えば森の谷間、そこから見上げたとき、滝が流れ落ちていたり、木々から光が差し込んできたり、風が通り抜けたり、自分が立っている場所にそうした現象や風景が流れ込んできます。
また、傾斜を歩いていくと段々と風景が変化(映像のように)していくのではないかと思います。
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そうした森の中で出会う色々な体験と国立西洋美術館での空間体験がどこか似ていると感じるのはこの辺りからだと気づきます。
国立西洋美術館(コルビュジェ建築)は上方から下方へ(垂直方向)、右から左へ(水平方向)風景や現象(音や光など)が途切れることなく続いていく「ひと繋ぎの空間」を興味深く体験できる建築ではないかと思います。
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秋も深まり、いま上野恩賜公園は紅葉の見ごろを迎えています。
ル・コルビュジェが掲げた5原則など専門的な知識がなくても、気軽に散策する感じで作品鑑賞と合わせて空間体験をしてもらえたら国立西洋美術館がに行く楽しみが増えるかな、なんて思ったりもします。
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また現在、国立西洋美術館では企画展「モネ 睡蓮のとき」が開催されています。
印象派を代表する世界的な画家の1人、クロード・モネの展覧会ということだけあって、非常に混雑していました。
事前にオンラインチケット購入や混雑を避けて、など工夫が必要かもしれません。
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一部撮影可
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みんなモネ展の方々
コルビュジェ建築を体験したい方は常設展(写真撮れるのも常設展示室)は落ち着いて鑑賞できるので、おでかけ場所のひとつにしてみてはいかがでしょうか。
ということで、
今回はこの辺りで失礼します。
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ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではまた
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