時節で変わる宿場の表情:中山道 奈良井宿
こんにちは
日本の伝統的な地域や建築は、
季節や行事でまちの風景を変容させます。
今ではなかなか身近で見られないかもしれませんが、ずっと昔から習慣として続いている地域が現存しています。
ということで、
今回は時節で通りの表情が変化する地域の一つ、宿場町「奈良井宿」のお話をしていこうと思います。
少しだけ耳を傾けてもらえたら嬉しいです。
それでは
|中山道 奈良井宿
まずは、中山道の宿場町「奈良井宿」についてザっと触れていきます。
奈良井宿は長野県塩尻市にあり、約1kmにわたって町並みを形成する日本最長の宿場町として知られています。
「宿場」は現在で言う「駅」と言えばわかり易いと思います。
現在のように車や電車はなく、移動手段は人の足(馬や駕籠も)でした。
街道の始点と終点の間にある各駅(宿場)に宿泊施設、食事処など町家が立ち並び「まち」(商店街)機能が形成されたのが「宿場町」とされています。
そう考えると宿場のアップデート版が現在の「道の駅」という風にも捉えられるし、どこか歴史的な繋がりが感じられますね。
ボクは何度か奈良井宿を訪ねています。
そこでお話した人や宿場町の雰囲気、気候などまた来てみたいと感じさせてくれるお気に入りの場所の一つです。
奈良井宿は夏になると並ぶ家々に簾(すだれ)が掛かります。
普段の風景を知っている自分からすると目に映る風景の変化に驚きを与えてくれます。
|季節の装いがまちに彩りを与えている
ボクが訪ねたのは8月のお盆時期。
家々の簾の前に家紋の入った提灯が掛かり、家の前を通ると中から子どもたちの楽しそうな声や家族の話声が聞こえてきました。
きっと夏期休暇の帰省中だったんだと思います。
まちの表情の変化と住む人たちがつくり出す情景に、時節をより強く感じさせてくれます。
そこにプラスして蝉の鳴き声、歩くと聞こえてくる水の音、遠くに見える山々の緑、そうした一つ一つが夏の奈良井宿の風景を構成しているんだと思います。
日本の夏だなぁ、っていう。
見学できる町屋に入ってみても、伝統的な建築の夏を感じさせてくれます。
通りに面した簾を今度は内から見てみると、外が良く見えます。
外部からの視線や日差しを遮りつつも、内部からは繋がりを保っています。
これは簾という道具の特徴ではありますが、日本らしい空間の境界にある「曖昧さ」がよくわかります。
完全に遮断はさせずに、光や気配が程よく家の中に漂っています。
宿場町の通りと家の中、両方を体験してみるとその時々の季節、また住まわれている人たちの暮らしぶりを感じるので地域を味わう一つの楽しみ方なんじゃないかなぁと思います。
奈良井宿は、ここへ訪れる人を迎え入れてくれるようであり、住んでいる人たちは地域に根差した文化を保ち続けているステキな「場」です。
日本的な文化、建築が好きな方はぜひ色々な季節に訪ねてみてくださいね。
その時はお話を聞かせてほしいです。
ということで、
この辺りので失礼します。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではまた
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