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始まりは貴方の建築だった:建築家 谷口吉生

こんにちは

つい先日、ある訃報ニュースを目にしました。

世界的建築家 谷口吉生氏がお亡くなりになりました。
谷口氏が手掛けた建築作品は専門家問わずに好きな方が多いのではないかと思います。

葛西臨海公園水族園(東京都江戸川区)

お会いしたことは当然ないのですが、建築を通じて尊敬していた建築家の方です。

ですので、今回はボクにとっての谷口建築についてお話していこうと思います。

よろしければ耳を傾けていただけると嬉しいです。



|はじまりは谷口建築

京都国立博物館 平成知新館

‟何か”を始める時、
そのキッカケは‟何か”に魅了されたことがトリガーとなってある分野にのめり込んでいった、ということが理由になっていることってありませんか。

ボクはそれに当たります。

ボク自身の‟何か”「建築」で、心底好きになったのは学生時代訪れた谷口建築に触れ、魅了されたことがキッカケでした。

葛西臨海公園 展望レストハウス(東京都江戸川区)
展望3階 水族園が見える

谷口氏が手掛けた空間の仕掛けに心奪われ、
『建築ってすごいぁ』って心の中でつぶやいていたのか、声に出てしまっていたのかは定かではないですが、反射的にそう感じたことは覚えています。

その建築は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川県丸亀市)

当時撮った写真が消失してしまったので、手元にないのが残念(また行く理由になりそうです)ですが、そこでの体験は空間をつくることの面白さを知りました。

建築初心者であった当時、“凄い”とか“おぉ”とか、そんな言葉ばかりしか出てこなかったですが、その感動体験は現在でもボクの中に強く残っています。

鈴木大拙館(石川県金沢市)
禅とは何か

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館をキッカケとなって建築を心の底から好きになりましたし、もっと知りたいと思うように。
そして、そこから各地にある谷口建築を巡るようにもなっていった感じです。

|谷口建築の魅力

当時は今ほど空間体験について言葉に変換することが出来ませんでしたが、今ならもう少し何が良かったかが言えそうです。

ですので、ここからはボクなりに谷口建築の魅力についてお話していきたいと思います。

続けますね。

谷口吉生氏の建築で特徴的なのが「水盤」です。
水の庭とも言えるような薄く張られた水が建築全体を印象的にします。
内部から見ると一面に広がった水盤は静けさを感じます。

長野県立美術館 東山魁夷館(2016年撮影 )
水盤から反射した光が揺らぎと共に
天井に映し出される

その状態が通常であるとすると、が吹けば揺らぎが生まれ、が差せば反射光は内部を照らし、が降れば水紋が発生します。
たった一つの水盤の庭をとっても、こんなにも変化が生まれ、日毎や天候毎によって違う、とても豊かな表情を見せてくれます。

鈴木大拙館(石川県金沢市)
借景:背後の木々も含めて

枯山水庭園にも近い静けさを感じつつも、枯山水よりも自然の豊かさ(現象)が分かりやすくボクたちへ届いてきます。

以前、法隆寺宝物館の記事でもお話させていただいていましたが、谷口建築はシンプルな形態と素材もガラスや鋼材といった装飾性が抑えられた建築が多いです。

その分、建築全体のプロポーションのキレイさが際立ちますし、周囲の自然を取り込む「器」のような内部空間が形成されています。

法隆寺宝物館(東京国立博物館 敷地内)
水盤

自然発生的な周囲の環境を取り込み、意図的に作られた音や空間の明暗を巧みに仕込み建築全体が構成されているように思います。

最低限の造りだからこそ光や音などの美点が際立ちますし、温かさと静けさのお陰で心が落ち着くのがわかります。

京都国立博物館 平成知新館(京都府京都市)
光の差込みと影
壁面はそれらを映し出す

建築分野に関わる端くれ者であり、ただの建築好きとして今でも活動を続けていられるのも谷口吉生氏の建築に出会えたからこそです。
まだ伺えていない建築、もう一度訪れたい建築があります。

谷口吉生氏が残してくれたボクにとって教科書のような谷口建築にこれからも触れていきたいと思います。

改めて、
心よりご冥福をお祈りいたします。

皆さんが訪れた谷口建築のお話、もしありましたら聞かせてください。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。

ではまた



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倉嶋 洋介
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