ハレと祭:建具というものを考えてみた#08
こんにちは
日本の伝統的な建築や歴史・文化を学んでいると「ハレとケ」という言葉に出会います。
ざっくり言ってしまうと、非日常と日常、です。
非日常がハレ、
晴れ姿とか晴れの舞台なんて言いますよね。
反対に、ケは日常です。
普段の生活、人それぞれが送っている毎日が、ケ、と言われています。
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それで、ですね。
今回は、ハレの空間、を作っている要素の一つに建具的なものが関わってるぞ、っていうお話をしていきます。
少しの間、耳を傾けていただけると嬉しいです。
ではいきますね。
■ハレの空間・御祭り
ハレの空間って言われても実際はどんなものなの?
と思われるかもしれませんね。
例えば、結婚式とか七五三とか、節目・折り目になにかしらを披露するような時間や場だと言われています。
そのうち代表的なのが、お祭り、です。
祭礼を行うために神社は普段閉じてる所が開け放たれ、鳥居には幟旗が掲げられます。
まちには家々に幕が掛かり提灯が飾られ、一気に通りがお祭りっぽい雰囲気覆われます。
そうした光景を見た時、いつもと違う、という気持ちになると思いますし、そこに縁日の露店、山車(曳山)、祭囃子など音や匂いも合わさってボクたちは、「あ、お祭りだな」って認識します。
現代のボクたちも、ハレ、を知らなくとも、非日常、を作っていると思います。
例えば、クリスマス、ハロウィン、誕生日などパーティーとか。
その日、その時、特別な時間を過ごすために場を何かしら飾り付けると思います。
そう考えると、ハレ作りは身近な習慣かもしれませんね。
■その場を変化させる日本的な道具
建具的な(空間をつくる装置としての)見方をしていこうと思います。
先日伺った富山県八尾町のお祭りの風景も交えて進めていきます。
祭礼空間を構成しているモノには、先ほど挙げた幕のように囲うモノで辺りを覆っています。
また道を見てみると、家の前に穴が開いていてこれは提灯を建てるためのモノ。
そこに提灯や灯籠が並び、いつもと違う感、を演出しています。
さらに伝統的な格子のまちでは、通りに面した格子を外し、人を神様を向かい入れるために開かれています。
そのような仕掛け一つ一つが織り混ざりまちがお祭りをするための空間になっていることを知ります。
こうした長い時間を積み重ねてきた物事がまちや人に浸透している風景を見ると、文化や伝統、というモノのカタチを見たように思わせてくれます。
お祭りのような行事、催し物、イベントというのは短期間です。
つまり、ある一定の期間のみ存在していて終わるとそれらの姿は無くなります。
ここで重要なのは、たためる道具、ということがポイントです。
年に数度のみの使用回数なので、普段の保管についても考える必要があります。
幕や旗、提灯等はたためて仕舞う事が出来ますし、場所も余り取らない。
そしてその時が来ると短時間で様変わりさせ、一気にハレの空間に近づきます。
たためる、仕舞える、
必要な時に必要なだけ使用して空間をつくる、という考え方は「方丈庵」にも通じるところがあります。
臨時にその場をつくり、仮設(組立式)のため用が済めば片付けることが可能。
それは方丈庵のように板状のパネルでも、祭礼に使う幕や提灯などにおいても共通している特徴ではないでしょうか。
なんかいつもと違う、そう感じさせる裏方に建具的なものが役割を果たしていて、そしてそれは自在に空間を作り出す日本的な文化(アイデア)が背景にあった、そのように感じています。
ということで、
今回はこの辺りで失礼します。
ここまでご覧くださりありがとうございます。
ではまた
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