見出し画像

読書記録:河合敦『殿様は「明治」をどう生きたのか』

明治という時代について学ぼうという流れで、今回は為政者たちに注目しましょうか。そもそも幕末のもろもろが頭に入っておらず、「誰が」「何を」「どうした」がそらんじられないのがずっと気がかりでした。大きな出来事を起きた順番に並べられるようになりたい。

河合敦 著『殿様は「明治」をどう生きたのか』(扶桑社文庫)は、数多いた藩主たちから14人を選び、彼らが幕末をどのような態度で過ごし、乗り越え、明治の世を生きて亡くなるまでを紹介しています。

読んでみるとなるほど、14人の幕末の動きが説明されているので、そこから大きな流れを掴むことができました。特に徳川慶喜公の動きと諸藩の敵味方関係、それに伴い起きる戦いを何度も辿れるので記憶が定着したように思います。

ただやっぱり幕末の歴史そのものにあまり興味がそそられないのは変わらず、自分自身も不思議に思い本著を読みながら考えたところ、そもそも薩長にゆかりがないのでそちら側に何の感情もわかないし、徳川慶喜公のキャラクターも好きになれないし、振り回された人々が可哀想だなぁと思うばかりなのです。もうちょっとうまいことやれなかったのかなぁという。江戸の無血開城がハイライトなのかもしれませんが、その前後に流れた血を思うとやるせない気持ちになります。

また、明治になり元藩主が知事や国の要職に就いているのをみるにつけ、価値観としての士農工商的な身分の感覚はそれほど江戸時代と変わらなかったように思えます。外国から技術を得て庶民の暮らしは劇的に変わっていくように見えても、そういう価値観は根深く人々に残り続けたでしょうか。その辺りを今後のテーマとして明治を勉強する必要がありそうです。

この時期に多くの元藩主やその子息が海外留学に出ているのには驚きました。留学記があればそれも読んでみたいものです。きっと今の時代では体験できないような、まっさらな異文化交流が記されているでしょうから。

まだまだ知らないことが盛りだくさんな明治時代。近いようで遠いその時代を生きた人々の、リアルな感覚を想像できるような知識をこれからも探っていきたいと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集