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まるで翡翠のような山椒の実に惹かれて|和歌山県産
数年前、都内の百貨店の生鮮食品売り場で山椒の実が売られているのを見つけた。まるで翡翠のような美しい実が箱に収まっていて、目が離せなくなってしまった。(関東では普通のスーパーなどではあまり見かけない)
山椒の実なんて一度も調理したことがない。葉も実もどちらかというと苦手な方だし、鰻の蒲焼には山椒が欠かせないなどというこだわりもない。
その時は使い道もわからないまま、ただただ翡翠のような美しさに惹かれて実山椒を一箱買ってしまった。
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和歌山県の山椒の収穫量は日本一だそう
結局その時の実山椒は、醤油とみりんと砂糖で長時間煮詰めて日持ちのする佃煮となった。
卵かけご飯に実山椒の佃煮を数粒入れて食べたらとっても美味しくて、それまでは苦手だった独特の香りとピリッと痺れる感覚が大好きになってしまった。鰻の蒲焼にかける粉山椒にも今ではこだわりがある。
今年も和歌山県産の実山椒で、佃煮と塩漬けを作ろうと思っている。
実山椒は長時間水につけてあくを取ったり、小さな実を一粒ずつ摘まなければならないので手間がかかる。それでも今年は、手のひらに実をこすりつけて取るというコツを知って少し楽になった。
こういう手しごとをしていると実家にいた頃を思い出す。梅の実のヘタを取ったり(梅干しや梅シロップを作るとき)、インゲン豆やさやえんどうや蕗の筋を取る時は、床に座って新聞紙を広げ母や祖母とおしゃべりしながら一緒にしたものだ。
おしゃべりしながら手を動かしていると知らないうちに終わっている。
実山椒を摘むのもそうやって一緒にやればすぐに終わってしまうのに。考えてみると、生活のなかでそういう場面はもうなくなってしまった。今振りかえってみるととても大切な時間だった。
今年もまた姪っ子の家に持って行こう。お味噌汁やサバの味噌煮に入れても美味しいと教えてくれた京都出身の友人にも渡したい。そんなことを考えながら、一人でひたすら実を摘んでいく。
今年は、実山椒と一緒に添えられていたレシピをもとに「山椒入り鯖めし」と「ちりめん山椒」に挑戦してみよう。
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