【今日コレ受け】変化への対応と仮説検証【元外交官のグローバルキャリア】
お客様の変化への対応と仮説検証、基本の徹底、単品管理、端的な用語で自身の経営理念を語り続けた経営者がいる。言わずと知れたセブンイレブンの鈴木敏文前会長、名誉顧問だ。
変化対応、つまり朝令暮改。
大学を出てすぐ、鈴木会長のアシスタントになった。配属は秘書室ではない。オペレーションサポート部というオペレーション本部の一角にあった現場に近い部署だ。基本的に仕事は、年に4回ある元親会社のダラスのサウスランド社(現セブンイレブン社)の幹部との会議の調整と随行だ。
会長の言葉を通訳するには、会長の経営理念を理解すべし、と毎週本部で行われる店舗を受け持つ現場のオペレーション・フィールド・コンサルタント(OFC)会議からマネージャー会議、サスウスランドとの幹部会議まで席に付いていた。シェリル・サンドバーグがLean in 前のめりに会議の席に着いて、と説くまでもなく、私に末席に席が用意されていた。それもバックシートではない。一応は会議の一員として、何も分からない新人が制服を着て紅一点座っているのだ。海外出張の時はさすがに制服は着ない。
多様性や男女共同参画という言葉が定着する前から、女性の登用に長けた人だった。まだこちらが学生気分すら抜けていない頃だ。変化への対応、過去の成功体験を捨てる、チームマーチャンダイジング、単品管理、アウトソーシング、ドミナント戦略、そして仮説検証。門前の小僧習わぬ経を読む。
繰り返し聞いて通訳もした経営理念は、私の血となり肉となっている。外交官の仕事をしていた時もどれだけこの経営哲学が自分なりの戦略を立てるのに参考になったことか。
鈴木会長が新卒で初めて務めた会社は、出版取次会社のトーハンだ。あの頃のように無邪気に会長の話が聞きたい。