私がわたしである理由14
[ 前回の話… ]
八、予期せぬ再会(2)
「で、どうだったい?伊東君との傍受作業は」潤治よりも1時間程遅く帰宅した甲一郎がコートと帽子を脱ぎながら尋ねた。
「ええ、一応サイパン、テニアン、グァム方面と思える通信傍受はいくつか出来ました。まあ殆どが基地の通信士同士の会話です…物資とか整備状況とかも結構だらだら話してますよ。それほど重要な情報はなさそうですが、結構雑談も多くて、あちらは余裕ですねえ」
「いやいや、それはどうでもいいんだ。ある程度情報が掴めるってえ事実さえあり