お花の統計から学ぶ経済学(その1)
「世界の花屋」をはじめ、お花をストーリー性を持ってお伝えしているわけですが、当然、通関統計も常にチェックしています。
そして、通関統計から見えてくる世界・経済原理がある。そんなところを何回かに分けて考察してみたい。
※統計上、金額もしくは重量でお話することになり、本数ではありません。その点はご容赦ください。
1.バラの世界
2019年で、海外から日本への輸入総額は約20億円。
そのうち、トップシェアのケニアは9.6億円。そう、約半分を占めている。
2017年のデータによると、重量ベースでは2,100MT。
バラの場合、1MT=25,000本と言われるので、
ケニアをはじめとする海外からは約50,000,000本。。。とてつもない数字である。
ちなみに、2019年ベースで産地トップ3は、
1位:ケニア 807MT
2位:エクアドル 161MT
3位:コロンビア 109MT
先に、この10年で輸入量が激減した国をみてみよう。
韓国:2,568MT(2011)→366MT(2019)
インド:301MT(2011)→179MT(2019)
その分増えたのがアフリカ
ケニア:685MT(2011)->807MT(2019)
エチオピア:189MT(2011)->344MT(2019)
シンプルに言えば、アフリカで品種開発が進んだこと、そして赤道直下で咲く大輪のバラ。これらを更に輸送するためのアフリカへの航空網が広がったことも一因だろう。
その結果、比較的小ぶりなバラである韓国やインドは見事に負けたということになる。韓国の場合は、政府による補助金政策の変更も含まれていると思われる。
ちなみに、エクアドルの数量に大きな変化はない。
ただ、コロンビアは207MT(2011)→109MT(2019)
これは、コロンビアはケニアに負けたこと、そして、コロンビア勢はロシアの需要を見越してそちらにシフトしたことが想定される。
ジャパンクロップスのデータによると、日本によるバラの作付面積はこの10年で20%も減っている。
この減少分もアフリカ勢が食ったとみるべきだろう。
(続く)
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