旅するビジネスマン 小林邦宏
お花の通関統計から見えてくる世界・経済原理、最終回(の予定)です。 5.百合 最後に百合の世界を見てみよう。 切り花の世界の中で唯一と言ってもいい、日本国産が中心の世界が百合である。 2014年->2019年 1位:韓国 1,528MT->484MT 激減 2位:ベトナム 51MT->43MT 3位:台湾 2MT->23MT 輸入総額で見ると分かりやすい。この5年で、5.7億円→2.4億円と激減している。 百合は、オランダやニュージーランド、チリ産の球根代が大半を占め
お花の通関統計から見えてくる世界・経済原理、第4弾です。 4.洋ラン オンシジューム、デンファレ、胡蝶蘭、シンビジウムなど、こちらも日本の仏花文化には欠かせないお花である。 洋ランは、品種によって価格が大きく異なるため、ランキングには価格も併記する。 2014年->2019年 1位 タイ3,183MT->2,577MT(JPY815/kg) 2位 台湾1,691MT->1,866MT(JPY1688/kg) 3位 マレーシア 545MT->367MT(JPY831/kg)
お花の通関統計から見えてくる世界・経済原理、第3弾です。 3.菊 日本で最も重要なお花ともいえる菊。 お盆・お彼岸をはじめ、日本の仏花文化の中心の存在である。 2014年->2019年 1位:マレーシア 12,280MT->11,816MT 2位ベトナム 2,988MT->5,930MT 3位中国 3,427MT->4,569MT この5年で少し減ってはいるが、マレーシアの独壇場が続いている。 金額ベースでシェアは60.4%、この数年、60%前後で推移。 マレーシア・キ
お花の通関統計から見えてくる世界・経済原理、第2弾です。 2.カーネーション 先に、2019年ベースで産地別ランキングを見てみよう。 1位:コロンビア 7,000MT 2位:中国 2,000MT 3位:ベトナム 200MT コロンビアの数字がずば抜けている。この10年の推移を見ても 6409MT(2011)->7008MT(2019)となんと1,000MTも増えたし、金額ベースで75%の寡占状態は変わらない。 最もシェア落としても2016年に70.8% ジャパンクロップ
「世界の花屋」をはじめ、お花をストーリー性を持ってお伝えしているわけですが、当然、通関統計も常にチェックしています。 そして、通関統計から見えてくる世界・経済原理がある。そんなところを何回かに分けて考察してみたい。 ※統計上、金額もしくは重量でお話することになり、本数ではありません。その点はご容赦ください。 1.バラの世界 2019年で、海外から日本への輸入総額は約20億円。 そのうち、トップシェアのケニアは9.6億円。そう、約半分を占めている。 2017年のデータによ
ASEANはAECを作った。 いまではCMLVという経済用語もある。 念のため、 C=カンボジア M=ミャンマー L=ラオス V=ベトナム で、アジアでこれから急伸すると期待される4か国のことである。 ASEAN、AEC、CMLV・・・ 中国の動きはどうか、Vはおいておいて、Lは既に手中に収め、Cにはせっせと攻略中、いや、もう落城寸前。 シアヌークビルなんて、中国かと思うくらい。 そんなわけで、ここから、2-3年、Mをより意識してターゲットにしてくるのだろう。 CM
前回は売られているお花に着目して考察したが、買い付けに着目すると流れはもっと顕著 タイのデンファレ(デンドロビウム) 日本でもなくてはならない花の一つ。 かつては日本がNo.1。でも、この5年で逆転した。 いまは中国がぶっちぎりのNo.1。日本と桁1つ違う。 有名なのがフルーツの王様ことドリアンで、数年前から、中国・アリババグループによるとんでもないスケールの買い付けが行われている。 データが無いのが残念だが、いまやドリアンの大半が中国へ送られているといっても過言ではない。
この数年、ASEANでお花の買い付けしていると中国の影が、いや、影ではない、もう姿そのものが見えてきた。 ちなみにタイ・バンコクのパーククローン市場へ行くと、そこに並ぶ花には中国産のものが目立つ。 マレーシアもそう。 首都クアラルンプールの花屋に行ったとき、そこは中国の花だらけ。 陸路で鮮度良く運ばれてくるとお店の方が語っていたのが印象的。 そして、ラオスもそう。 中国産のお花ばかり。 ところが、カンボジアはそうでもなかった。タイ産のお花が目立ったことが印象に残ってる
<ラジオ出演> 明日より、福岡・RKBラジオの朝の情報番組「櫻井浩二 インサイト」の1週間ゲストを務めさせて頂きます。7:40~ のスペシャルインサイトのコーナーです。 テーマは、「ピンチをチャンスに! ウィズコロナ時代のビジネス」。 劇的な変化が起きたこのご時世、どんなポイントにビジネスチャンスがあるのか、僕自身の実例も交えながら5日間にわたってお話します。 特に、明日月曜はスタジオ生出演! 番組関係者の皆さんにお会いできるのが楽しみです。内容は、もちろんRadiko
<続く> 沢山の人に、 ”南アフリカの歴史は?” と聞くと、ほぼ全員が”アパルトヘイト”と答えるだろう。 それは、もちろん間違っていないし、僕も否定するつもりは一切ない。 でも、南アフリカを例に挙げたが、アフリカには、このキングプロテアにまつわる話のように、明るくい美しい歴史もたくさんある。 いま、キングプロテアをはじめとする南アフリカのお花業界には、人種関係なくさまざまな人が従事して、引き続き、品種開発などを通じ美しい歴史の続きを書いている。 今回はキングプロ
いまから30年以上前、南アフリカはアパルトヘイトが終わり、産業振興に本格的に注力し始めた。 南アフリカ最南端、ウエスタンケープ州。 この地で着目されたのが切り花産業である。 政府からも補助金を拠出し、プロテアの新品種の育成が進み始めたのである。 国営・民営が混じって品種の育成、その甲斐もあり、いま、南アフリカでは、どのくらいだろうか、僕が知っているだけでも50以上のプロテアの品種がある。 民営で品種開発に勤しんだ一人がパメラ・ミッシェルさん。 わたしたち「世界の花屋」
通常、キングプロテアをどうやって育てるか、それは、咲いた花から種子を抽出し、その種子から苗を作っていくわけだが、王冠のように咲いたお花の種子であっても育ってみたら内側を向くガッカリなタイプになることは普通にある。 遺伝子配列の関係でまた変異することもあるためである。 そして、これもテレビで触れられたと思うが、キングプロテアは、苗から初回の出荷まで5年余りの時間を要するお花。 もっと短いスパンで初回出荷できるなら状態見て”王冠タイプ”だけをそろえることができるかもしれないが
キングプロテアというお花をご存知だろうか。 南アフリカの国家で、正式名称は、”プロテア・シナロイデス”。 花言葉は、”王者の風格”。 僕が出演したNHKさんの番組でも何度か取り上げられ、ご記憶ある方もいらっしゃるかもしれない。 その王冠のように、もしくは太陽のように開いて咲く様は、まさに”王様” これぞキングプロテア!、と惚れ惚れするものである。 実際、この数年、日本での人気も急上昇中。 僕も、というか当社も、結構な数量を毎週輸入してる。 でも、キングプロテアには実
最後に、イスラムの世界とお花について触れてみたい。 まずは、モロッコ・アガディール。大西洋に面した美しい街。フランスを中心に欧州からのリゾート客も多いエリア。 そんなアガディールのお花屋さんから。 このデザイン、イスラムの世界を旅したことのある人ならきっと見たことがあるだろう。 主に婚礼用である。 イスラムの花文化の中心には婚礼がある。 実際、僕の知り合いでドバイで装花事業を営んでいる人がいるが、(国名は書けないが)某発展途上国の政府幹部の結婚式がドバイで執り行われ
続いてアジアについても触れてみたい。 昨今アジアを旅していると、おしゃれなお花屋さんが増えだしていることを感じる。 例えばこちらはベトナム・ホーチミンシティで出会ったお花屋さん。 シンプルで美しく、素敵である。 でも、 ”アジア全体におしゃれ花文化が進んでいるか” というとそうでもない。 そして、アジアを廻っていて気付いた点があった。 (そうか、おしゃれ花文化が進んでいるのは儒教の国だ・・・) こちらの写真は中国・広東省東莞市のお花屋さん。 こう言っては失礼
そして、ヨーロッパでもう一つ、ギリシャについて触れてみる。 今年のはじめ、ギリシャの首都アテネに滞在した。 世界中でビジネスをしていると、”ギリシャ人ビジネスマン”にはよく出会う。 ”どこ出身なの?” ”ギリシャだよ” みたいに、渡り鳥のように世界中でビジネスをしている方がとても多く感じる。 イメージとしては、”ユダヤ商人”・”レバノン商人”のような感じだろうか。 ”ギリシャ商人”も、世界では一大勢力である。 そして、そんな”感覚”がアテネのお花屋さんで裏付けられた